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垣根涼介さん「光秀の定理」 [本☆☆☆]


光秀の定理 (角川文庫)

光秀の定理 (角川文庫)

  • 作者: 垣根 涼介
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2016/12/22
  • メディア: 文庫



垣根さんは初読みです。史実とは違った明智光秀像が描かれます。
戦国時代が舞台で戦国武将が主要人物なのに戦の描写がされない斬新な小説です。

永禄3(1560)年、京の街角で三人の男が出会った。食い詰めた兵法者・新九郎。辻博打を生業とする謎の坊主・愚息。そして十兵衛…名家の出ながら落魄し、その再起を図ろうとする明智光秀その人であった。この小さな出逢いが、その後の歴史の大きな流れを形作ってゆく。光秀はなぜ織田信長に破格の待遇で取り立てられ、瞬く間に軍団随一の武将となり得たのか。彼の青春と光芒を高らかなリズムで刻み、乱世の本質を鮮やかに焙り出す新感覚の歴史小説!!
(出版社HPより)

モンティ・ホール問題という確率論を取り入れた小説です。

主に兵法者の新九郎と僧侶の愚息の視点で明智光秀の半生が描かれます。

織田信長の下で出世を遂げていく光秀に対して、剣の道を極める新九郎と豪放磊落な愚息の2人の自由な生き方が対照的です。だからこそ光秀が感じる窮屈さや息苦しさと明智家中を守らねばならない使命感が際立ちます。光秀の置かれた立場を現代的に捉えることもできると思います。

志半ばで倒れた信長がどのような政権を目指していたのか、想像するしかありませんが、終幕で語られる本能寺の変の原因が信長の「異質さ」だったとする新九郎と愚息の推理は面白く読みました。

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平谷美樹さん「採薬使佐平次」 [本☆☆☆]


採薬使佐平次 (角川文庫)

採薬使佐平次 (角川文庫)

  • 作者: 平谷 美樹
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2015/10/24
  • メディア: 文庫



初読みの作家さんです。
「採薬使」という言葉に興味を持ち、読んでみました。

大川で斬死体が上がった。吉宗配下の御庭番にして採薬使の植村佐平次は、探索を命じられる。その死体が握りしめていたガラス棒を手がかりとして、事件を追うことに。一体何のために使っていたのか。同じ頃、西国では蝗害が広がり、稲作に深刻な被害をもたらしていた。採薬使の仲間を、原因究明のため江戸を発たせた佐平次だったが―。2つの事案に隠された、驚くべき真相が明らかに。享保の大飢饉の謎に挑む、新解釈時代小説。
(「BOOK」データベースより)

八代将軍 徳川吉宗が創設した採薬使という役職があったそうで、全国を旅して薬草等を採取しつつ、駒場に薬草園を作って栽培をしていたそうです。
で、全国を巡るってなると諸大名の動向を探るなんてこともできるわけで、お庭番を兼ねているという物語になっています。

冷夏と虫害によって西日本を中心として凶作となり100万人近くが餓死したという享保の大飢饉と絡めて幕府の転覆を図る陰謀を明らかにするストーリイは想像を超えた面白さでした。

吉宗と対立するのは歴史好きの方であればご存知の人物です。
史実を踏まえながら、作家の想像力を張り巡らせる構成力と筆力に物語を堪能しました。

シリーズ化されているようなので、是非読んでみたいと思います。

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朝井まかてさん「阿蘭陀西鶴」 [本☆☆☆]


阿蘭陀西鶴 (講談社文庫)

阿蘭陀西鶴 (講談社文庫)

  • 作者: 朝井 まかて
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/11/15
  • メディア: 文庫



井原西鶴の半生を描いた作品です。
盲目の長女おあいを通して描いています。

「好色一代男」「世間胸算用」などの浮世草子で知られる井原西鶴は寛永19年(1642)生まれで、松尾芭蕉や近松門左衛門と同時代を生きた俳諧師でもあり浄瑠璃作者でもあった。俳諧師としては、一昼夜に多数の句を吟ずる矢数俳諧を創始し、2万3500句を休みなく発する興行を打ったこともあるが、その異端ぶりから、「阿蘭陀流」とも呼ばれた。
若くして妻を亡くし、盲目の娘と大坂に暮らしながら、全身全霊をこめて創作に打ち込んだ西鶴。人間大好き、世間に興味津々、数多の騒動を引き起こしつつ、新しいジャンルの作品を次々と発表して300年前のベストセラー作家となった阿蘭陀西鶴の姿を描く、書き下ろし長編時代小説。
芭蕉との確執、近松との交流。娘と二人の奇妙な暮らし。
創作に一切妥協なし。傍迷惑な天才作家・井原西鶴とは何者か?
(出版社HPより)

『好色一代男』『好色五人女』、『日本永代蔵』、『世間胸算用』などをヒットさせた井原西鶴って今でいうベストセラー作家なんですね。

浄瑠璃作者になる前は俳諧師で、一昼夜に2万3500もの句を詠んだというエピソードは驚きです。現代の作家としたら天才的な多作になるんでしょうね。松尾芭蕉や近松門左衛門の名前も出てきて、時代性もわかります。

主題は親子の情愛だと思います。けれども、その情愛はすれ違うばかりです。
天才肌の西鶴が娘に寄せる愛情をおあいは感じ取ることができず、盲目であることもあるのでしょう、口調や言葉のニュアンスだけでは汲み取れないもどかしさを感じました。それは西鶴の日々の行動も影響を与えているんでしょうが。

終始ハイテンションで始終なにかと言葉にする西鶴は、人間的な魅力に溢れて(でも個人的には遠慮したいタイプ)、それでいて繊細さや思いがけない弱さも見せ、朝井さんの筆力を感じました。

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万城目学さん「とっぴんぱらりの風太郎」 [本☆☆☆]


とっぴんぱらりの風太郎 上 (文春文庫)

とっぴんぱらりの風太郎 上 (文春文庫)

  • 作者: 万城目 学
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2016/09/02
  • メディア: 文庫



とっぴんぱらりの風太郎 下 ((文春文庫))

とっぴんぱらりの風太郎 下 ((文春文庫))

  • 作者: 万城目 学
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2016/09/02
  • メディア: 文庫



今度は「ニート忍者」が主人公です。大坂の陣を控えてのキナ臭い京都・大坂を舞台にファンタジーを交えたアクションが繰り広げられます。

天下は豊臣から徳川へ―。重なりあった不運の末に、あえなく伊賀を追い出され、京(みやこ)でぼんくらな日々を送る“ニート忍者”風太郎。その人生は、1個のひょうたんとの出会いを経て、奇妙な方向へ転がっていく。やがて迫る、ふたたびの戦乱の気配。だましだまされ、斬っては斬られ、燃えさかる天守閣を目指す風太郎の前に現れたものとは?
(「BOOK」データベースより)

前半は忍者ものに似つかわしくないのんびりとした雰囲気が漂うのは、伊賀忍者を放逐されて「ニート」になった風太郎と、その相棒の黒弓が醸し出す「ユルさ」かもしれません。
そこに因心居士と名乗る仙術使いの指示で瓢箪を栽培することになり、ユルさが倍増します。

後半になってテンポアップしながらも、どこか力の抜けた感が漂いながらのエンディング。
終幕がリアリズムで終わったのには意表を衝かれました。

忍者小説らしく、祇園界隈を根城にする剣の達人 残菊たちと風太郎たち伊賀忍者のアクションシーンは圧巻でした。

そして、まさか、あの作品の前日譚だったとは!
思いもしませんでした。


ちなみに、「とっぴんぱらり」とは『秋田県地方において、昔話等の物語の最後を締める言葉。結語。後ろに付く言葉は地域や時代によって「~ぷぅ」、「~すったごだっごのぴい」、「~さんしょの実」等のバリエーションが見られる。』だそうです。(http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A4%C8%A4%C3%A4%D4%A4%F3%A4%D1%A4%E9%A4%EA)

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道尾秀介さん「鏡の花」 [本☆☆☆]


鏡の花 (集英社文庫)

鏡の花 (集英社文庫)

  • 作者: 道尾 秀介
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2016/09/16
  • メディア: 文庫



死や喪失という闇に包まれた世界にさし込む「光」を感じた短編集です。巧みに構成された作品世界にどっぷりと浸りました。

「やさしい風の道」「つめたい夏の針」「きえない花の声」「たゆたう海の月」「かそけき星の影」「鏡の花」の6編が収められています。

少年が解き明かそうとする姉の秘密、曼珠沙華が物語る夫の過去、製鏡所の娘が願う亡き人との再会…。「大切なものが喪われた、もう一つの世界」を生きる人々。それぞれの世界がやがて繋がり合い、強く美しい光で、彼らと読者を包み込む。生きることの真実を鮮やかに描き出すことに成功した、今までにない物語の形。ベストセラー『光媒の花』に連なり、著者の新しい挑戦が輝く連作小説。
(「BOOK」データベースより)

連作短編集の形をとりながらも少しずつ設定が違っていて、パラレルワールドのような並行世界が展開されます。

「ありえたかもしれない世界」というのは誰しもが思うことでしょうが、道尾さんらしい巧みな構成と物語展開と描写でどの作品も違和感なく(前の作と登場人物の運命が違っていたとしても)読み進めることができました。

そこに「死と喪失」という重苦しいテーマがまるで登場人物たちが輪廻するように絡み合い、最終章で「光」に結実する物語展開に救われたような気持になりました。

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和田竜さん「村上海賊の娘」 [本☆☆☆]


村上海賊の娘(一) (新潮文庫)

村上海賊の娘(一) (新潮文庫)

  • 作者: 和田 竜
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/06/26
  • メディア: 文庫



村上海賊の娘(二) (新潮文庫)

村上海賊の娘(二) (新潮文庫)

  • 作者: 和田 竜
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/06/26
  • メディア: 文庫



村上海賊の娘(三) (新潮文庫)

村上海賊の娘(三) (新潮文庫)

  • 作者: 和田 竜
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/07/28
  • メディア: 文庫



村上海賊の娘(四) (新潮文庫)

村上海賊の娘(四) (新潮文庫)

  • 作者: 和田 竜
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/07/28
  • メディア: 文庫



これぞエンタメ小説です。長いけど…。めっちゃ長いけど…。

時は戦国。乱世にその名を轟かせた海賊衆がいた。村上海賊―。瀬戸内海の島々に根を張り、強勢を誇る当主の村上武吉。彼の剛勇と荒々しさを引き継いだのは、娘の景だった。海賊働きに明け暮れ、地元では嫁の貰い手のない悍婦で醜女。この姫が合戦前夜の難波へ向かう時、物語の幕が開く―。
(第1巻)
天下統一に乗り出した織田信長が、大坂本願寺を攻め立てていた天正四年。一向宗の門徒たちは籠城を余儀なくされていた。海路からの支援を乞われた毛利家は、村上海賊に頼ろうとする。織田方では、泉州淡輪の海賊、眞鍋家の若き当主、七五三兵衛が初の軍議に臨む。武辺者揃いの泉州侍たち。大地を揺るがす「南無阿弥陀仏」の大合唱。難波海で、景が見たものは―。
(第2巻)
ついに難波海へ姿を現す毛利家と村上家の大船団。村上海賊は、毛利も知らぬ恐るべき秘策を携えていた――。歴史巨編、堂々完結。織田方の軍勢は木津砦に襲い掛かった。雑賀党一千の銃口が轟然と火を吹き、その猛攻を食い止める。本願寺門徒の反転攻勢を打ち砕いたのは、京より急襲した信長だった。封鎖された難波海へ、ついに姿を現す毛利家と村上家の大船団。村上海賊には、毛利も知らぬ恐るべき秘策があった。自らの家を保つため、非情に徹し、死力を尽くして戦う男たち。景の咆哮が天に響く――。
(第3巻)
ついに難波海へ姿を現す毛利家と村上家の大船団。村上海賊は、毛利も知らぬ恐るべき秘策を携えていた――。歴史巨編、堂々完結。難波海の睨み合いが終わる時、夜陰に浮かび上がったわずか五十艘の船団。能島村上の姫、景の初陣である。ここに木津川合戦の幕が切って落とされた! 煌めく白刃、上がる血飛沫。村上海賊の投げ放つ焙烙玉が、眞鍋家の船を焼き払う。門徒、海賊衆、泉州侍、そして景の運命は――。乱世を思うさまに生きる者たちの合戦描写が読者の圧倒的な支持を得た完結編。
(第4巻)

石山本願寺とと織田軍の戦い(石山合戦)の最中の海戦である木津川口の戦いを描いています。
第1次で織田水軍が毛利水軍に敗れ、第2次でリベンジを果たし石山本願寺の開放につながる、というのがざっくりとした流れでしょうか。

毛利水軍の一軍である村上海賊、その頭領の娘の景が主人公です。頭領の器です。豪快で奔放でときに繊細で、人を惹きつける魅力を備えています。しかし醜女(どうやら当時の感覚らしく、現代なら美女?)なんだとか。

脇役もキャラが立っています。村上水軍の頭領や叔父、毛利水軍の諸将、敵方の泉州淡輪の海賊たち、なかでも眞鍋七五三兵衛。海賊の荒々しさとおおらかさが海の男という感じです。漫画的というかドラマ的というか、和田さんの真骨頂です。

また、戦闘シーンも臨場感があります。その中で初陣だった景が感じたショックというものが当たり前に描かれていて新鮮でした。

後半の第2次木津川口の戦いのシーンは圧巻です。火力戦に加えて敵味方入り乱れての白兵戦の連続。

しかし、景と七五三兵衛はバケモノか、と思うほどの戦いぶりで、逆にリアリティが欠けていました。
また、ひとつの刀で斬って斬って斬りまくってはどうなのと思いました。切れ味が鈍ったり、刃が欠けたりするのが当たり前なんだそうで、ここでもリアリティが失われているように感じました。

まあ、そういった点を除いても面白さにあふれた作品でした。長かったけど…[わーい(嬉しい顔)]

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辻村深月さん「島はぼくらと」 [本☆☆☆]


島はぼくらと (講談社文庫)

島はぼくらと (講談社文庫)

  • 作者: 辻村 深月
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/07/15
  • メディア: 文庫



辻村さんが描く「田舎」「故郷」の物語ということで身構えてしまっていたのですが、予想を裏切る青春小説でした。

母と祖母の女三代で暮らす、伸びやかな少女、朱里。
美人で気が強く、どこか醒めた網元の一人娘、衣花。
父のロハスに巻き込まれ、東京から連れてこられた源樹。
熱心な演劇部員なのに、思うように練習に出られない新。
島に高校がないため、4人はフェリーで本土に通う。
「幻の脚本」の謎、未婚の母の涙、Iターン青年の後悔、
島を背負う大人たちの覚悟、そして、自らの淡い恋心。
故郷を巣立つ前に知った大切なこと――
(出版社HPより)

瀬戸内の島が舞台のせいか、辻村さんのこれまでの地方を舞台にした作品に比べると閉塞感や重苦しさは少ないです。海があると開放的になるからでしょうか。

個性的な男女高校生4人の友情と淡い恋が丁寧な筆致で描かれます。それぞれの持つ背景が家族を含めてしっかりと浮かび上がっているので、彼らの言葉や所作から考えや思いが伝わってくるようです。

それだけでなく、大人たちの友情もぐっときます。
蕗子とヨシノ、朱里の祖母と島を出た幼馴染は深いところで繋がっているのが感じられます。都会やネットではなかなか得ることのできない関係性は羨ましくもあり、そこに至るまでの「面倒くささ」も想像できてしまいます。

恋愛や友情だけでなく、島を取り巻く環境の変化━高齢化や人の流出、移住者と地元の人たちとの関係性なども描かれます。
それぞれの夢や将来を見据えたときの、網元の一人娘 衣花の「私はここで、生きていく」という言葉の潔さに感動しました。

エピローグはやりすぎ、という感がありますが満たされた読後感でした。

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宮部みゆきさん「桜ほうさら」 [本☆☆☆]


桜ほうさら(上) (PHP文芸文庫)

桜ほうさら(上) (PHP文芸文庫)

  • 作者: 宮部 みゆき
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2015/12/17
  • メディア: 文庫



桜ほうさら(下) (PHP文芸文庫)

桜ほうさら(下) (PHP文芸文庫)

  • 作者: 宮部 みゆき
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2015/12/17
  • メディア: 文庫



武家の御家騒動と市井の人情ものというなかなか両立しなさそうなテーマの融合です。更にはミステリの趣もあります。

「富勘長屋」「三八野愛郷録」「拐かし」「桜ほうさら」の4章立てです。

舞台は江戸深川。主人公は上総国搗根藩で小納戸役を仰せつかる古橋家の次男坊・笙之介。大好きだった父が賄賂を受け取ったと疑いをかけられて自刃。兄が蟄居の身となったため、江戸へやってきた笙之介は、父の無念を晴らしたい、という思いを胸に、深川の長屋に住み、事件の真相究明にあたる。父の自刃には、搗根藩の御家騒動がからんでいた。野心を抱く者たちに押しつぶされそうになる笙之介は、思いを遂げることができるのか。人生の切なさ、ほろ苦さ、人々の温かさが心に沁みる物語。
(出版社HPより)

武道はからきしだが筆は立つ主人公が江戸の町で家計をたてながら父の冤罪を晴らすために調査をするのですが、長屋の人々の人情に包まれ、恋に落ち、搗根藩江戸留守居役の思惑に操られと盛り沢山です。

経済格差や草食男子などが下地になっている時代背景が現代に似ているようなのは狙いなんでしょうかね。

なかなかにシビアな結末なのは宮部さんらしいというか。


NHKでドラマ化されていたようなんですが、笙之介が玉木宏さん…だいぶ違うような。
https://www6.nhk.or.jp/drama/pastprog/detail.html?i=housara

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東野圭吾さん「夢幻花」 [本☆☆☆]


夢幻花 (PHP文芸文庫)

夢幻花 (PHP文芸文庫)

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2016/04/07
  • メディア: ペーパーバック



ミステリと銘打っていますが、主眼は人間ドラマですね。
東野さんらしいというべき作品です。

花を愛でながら余生を送っていた老人・秋山周治が殺された。第一発見者の孫娘・梨乃は、祖父の庭から消えた黄色い花の鉢植えが気になり、ブログにアップするとともに、この花が縁で知り合った大学院生・蒼太と真相解明に乗り出す。一方、西荻窪署の刑事・早瀬も、別の思いを胸に事件を追っていた…。宿命を背負った者たちの人間ドラマが展開していく“東野ミステリの真骨頂”。第二十六回柴田錬三郎賞受賞作。
(出版社HPより)

存在しない「黄色いアサガオ」が事件の鍵を握ります。江戸時代には存在したという幻の花を巡るミステリに仕立てあげる手腕は流石です。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000050.000005007.html

ただ、祖父の殺害事件を調べる梨乃と、蒼太の兄が自殺した事件の繋がりが見えてきた辺りで物語の構造がわかってしまうのは残念でした。
主眼が人間ドラマなので仕方ないか、とは思いますが。

夢を失いかけていた梨乃と蒼太が立ち直り希望を抱くラストは清々しくありました。


幼い頃に出会った孝美への蒼太の想いが想像以上にあっさりしていたのが肩透かしでした。そこからの進展をちょっと期待していたんですが。

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朝井まかてさん「恋歌」 [本☆☆☆]


恋歌 (講談社文庫)

恋歌 (講談社文庫)

  • 作者: 朝井 まかて
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/10/15
  • メディア: 文庫



第150回直木賞受賞作だそうです。
一人の女性の過酷すぎる運命に言葉もありません。

明治の歌塾「萩の舎」で樋口一葉の姉弟子に当たる三宅花圃が目にした手記には、師である中島歌子の心の声が刻まれていた。人気歌塾の主宰者として一世を風靡し多くの浮き名を流した歌子は何を思い、胸に秘めていたのか。中島歌子は、幕末の江戸で熱烈な恋を成就させ、天狗党の志士に嫁いで水戸へ下った。だが、尊皇攘夷の急先鋒だった天狗党はやがて暴走する。内乱の激化にともない、歌子は夫と引き離され、自らも投獄され、過酷な運命に翻弄されることになる。
“君にこそ恋しきふしは習ひつれ さらば忘るることもをしへよ”
代表歌に込められたあまりにも切ない真情。そして、歌子が下したある決断とは──。
(出版社HPより)

幕末から明治を生きた一人の女性の波乱万丈の物語です。
前半の恋愛ものから急転直下、嫁いだ先の水戸藩の内乱に巻き込まれ投獄され、地獄を目の当たりにし、辛うじて生き延びる中盤、江戸~東京で歌人としての成功を収める終盤と、ジェットコースターのようなという例えが生易しく思える展開です。

なによりも幕末の水戸の狂気じみた殺戮と復讐の連鎖が生々しく描かれる中盤は、本当にあったことなのかと疑いながら、読んでいても思わず目を背けたくなる筆力に圧倒されました。

手記の終盤で歌子が詠んだ和歌“君にこそ恋しきふしは習ひつれ さらば忘るることもをしへよ”はゾクゾクっとし、それから胸が締め付けられ、思わず涙が溢れてしまいました。外で読んでなくてよかったー。

心揺さぶられる物語です。

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