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中村航さん「年下のセンセイ」 [本☆☆]


年下のセンセイ (幻冬舎文庫)

年下のセンセイ (幻冬舎文庫)

  • 作者: 中村 航
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2018/04/10
  • メディア: 文庫



中村さんらしい恋愛小説です。切なさがひしひしと伝わってきます。

予備校に勤める28歳の本山みのり。たまの休みの楽しみは、気のおけない友達と美味しいお酒を呑むこと。恋は3年していない。そんな時、後輩に誘われ通い始めた生け花教室で、助手を務める8歳下の滝川透と出会う。少しずつ距離を縮めていく二人だったが、進学のため透が地元を離れることになり……。恋に仕事に臆病な大人たちの、切ない恋愛小説。
(出版社HPより)

アラサー女子の恋愛モノというとドラマ「はじこい」のような展開を想像してしまいますが、中村さんらしい繊細で機微に富んだ物語になっていると思います。

年齢的に恋に憶病になっているみのりと、歳の割におちついている透が年齢や距離などの障害を乗り越えていくさまは定番ではあるものの、普遍性があるせいか飽きがきません。

ただ、透のバイト先の隠れ家的バーとか、やや舞台設定がオシャレさを狙いすぎている気もします。

みのりが恋に臆病になった経緯や理由があまりはっきりしないまま、心情だけが切々と語られるのは、あまり共感できず、微かな圧迫感を感じてしまいました。

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桂月堂の薄小倉 [お店]

島根県松江市の和菓子屋さんです。

https://www.keigetsudo.jp/line-up/wagashi1/12

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きんつばのような見た目ですが、表面はかりっと固く、閉じ込められていた小豆がほろっと崩れます。
口の中でしゃりっとした食感とほろほろの豆の甘さが広がります。

ご馳走様でした。

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三崎亜記さん「手のひらの幻獣」 [本☆☆]


手のひらの幻獣 (集英社文庫)

手のひらの幻獣 (集英社文庫)

  • 作者: 三崎 亜記
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2018/03/20
  • メディア: 文庫



サイキックによるアクションなど、よりSFっぽさが強い作品です。
最近のSFではあまりみなくなったようなテイストです。

「研究所」「遊園地」の中編2作と短編「屋上の波音」が収められています。

動物の「イメージ」を現実世界に召喚し、自在にあやつることができる、異能力者の日野原柚月。彼女は、同じ能力を持つ者たちが所属するハヤカワ・トータルプランニングという会社に勤めている。もともとは動物園などで力を生かしていたが、近年では能力について科学的な研究が進み、各国間での人材開発競争が行われている。
そんななか、新しい「研究所」が建設されることになった。
そこには表出者のパワーを増幅させるための禁断の存在が隠されていて……。
(出版社HPより)

バスジャック』収録の「動物園」や『廃墟建築士』収録の「図書館」にも登場したハヤカワ・トータルプランニングの日野原柚月が主人公です。

とはいえ、『廃墟建築士』を読んでからだいぶ時間が経っていて、日野原柚月も忘れていました。

「表出」という特殊能力を有効に活用する場もない、ある種の閉塞した状態に置かれながらも淡々とした日々を送っていましたが、秘密裏に進行していた国家規模の企みに巻き込まれていきます。

世界観や「表出」という特殊能力の説明が続き、リズムに乗るのにやや時間がかかりました。
けれども、リズムに乗ってからは楽しくてページが進みました。

アクションシーン、といっても観念的なものですが、異能力者同士の戦いも迫力がありました。

一方でハヤカワ・トータルプランニングの社長と日野原柚月の関係がどうなっていくのか、やきもきしながらその先が気になりました。

続編あるのかな。

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畠中恵さん「まったなし」 [本☆☆]


まったなし (文春文庫) まんまことシリーズ 5

まったなし (文春文庫) まんまことシリーズ 5

  • 作者: 畠中 恵
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2018/04/10
  • メディア: 文庫



まんまことシリーズ第5弾です。
畠中のシリーズは長く続きますねー。

「まったなし」「子犬と嫁と小火」「運命の出会い」「親には向かぬ」「縁、三つ」「昔から来た文」の6編が収められています。

江戸町名主の跡取り息子・麻之助が、幼なじみで町名主を継いでいる色男・清十郎と、堅物の同心・吉五郎とともに、さまざまな謎ともめ事の解決に挑む、大好評連作短篇シリーズの第5弾!
今回の密かなキーワードは実は「女難」。独身で嫁取りの話がひきもきらない清十郎ですが、いったいその理由は? 未だ妻を亡くした悲しみが癒えない麻之介、養子に入った家で年齢の離れた許婚のいる吉五郎、そして彼らの親友で大金持ちの金貸し丸三とその妾のお虎。いずれも清十郎の運命の人が現れることを願っているが、様々な障害や思わぬ事件に巻きこまれ……。
(出版社HPより)

麻之助の悪友・清十郎の嫁探しがメインです。相手が誰かは早々に見当がついてしまいましたが。

色男の清十郎が独身でいた訳、彼と縁のあった女性たちのうち誰と結婚するのか。結末は意外でもあり納得もしました。
それにしても、バラエティに富んだ女性たちがカッコよかったです。

また、清十郎の義理の母であり麻之介の幼馴染でもあるお由有にも縁談が持ち上がります。
麻之介のお由有への想いといったものが垣間見えていただけにその結末は少し悲しく思いましたが、それもまた人生だ。。。

改めて、女性は強いなーと思いました。

悪友たちも一歩ずつ大人になっていくんだな、と思った本作でした。

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Decadence du Chocolat(デカダンス ドュ ショコラ) のチョコレート [お店]

銀座一丁目に本店を構えるチョコレート専門店です。

http://decadence.jp/


ボンボンショコラとLOW-GI・ディアナチョコレート(ミルクとビター)を購入しました。

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ボンボンショコラは滑らかな口溶けとフレーバーが楽しめます。

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LOW-GI・ディアナチョコレートは天然由来の甘味料マルチトールを使用しているとのことです。
甘さ控えめでカカオの風味が楽しめます。

イートインコーナーもあります。
今度はソフトクリームやホットチョコレートをいただきたいです。

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梨木香歩さん「海うそ」 [本☆☆]


海うそ (岩波現代文庫)

海うそ (岩波現代文庫)

  • 作者: 梨木 香歩
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2018/04/18
  • メディア: 文庫



「喪失」と「癒し」を主題にした梨木さんらしい味わいのある作品です。

昭和の初め,南九州の離島(遅島)に,人文地理学の研究者,秋野が調査にやって来た.かつて修験道の霊山があった,山がちで,雪すら降るその島は,自然が豊かで変化に富み,彼は惹きつけられて行く.50年後,不思議な縁に導かれ,秋野は再び島を訪れる──.歩き続けること,見つめ続けることによってしか,姿を現さない真実がある.
(出版社HPより)

フィールドワークとして南九州の離島に秋野がやってきたところから始まり、文化人類学や民俗学のテイストがあります。

調査を進めるうちに島に残る平家の落ち武者伝説、廃仏毀釈で破壊された寺、僧侶と娘の悲恋の物語など記録のない事物が人々の記憶となってやがて風化していくさまが描かれます。
そこに秋野の身に降りかかった近しい人たち(許嫁、父母、指導教授)の死が重なります。

秋野の抱く喪失感に、日本が近代化を推し進めることによって失われた(破壊した)事柄がリンクします。
その破壊は終章でも続いていて、諦めにも似た悲しみを感じました。

梨木さんの描く島の自然の描写が素晴らしいです。
島の動植物の生命感と主人公の抱える喪失感との対比によってより生き生きとした南方の植物のダイナミックさを感じました。。
風景・光景がイメージできるとともに、独特な表現でどこか面白みも感じます。

ただ、梨木さんらしいファンタジー色はありません。

また、喪失感と向き合うまでいかず、あっさりした印象を覚えたのが残念と言えば残念です。

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米澤穂信さん「真実の10メートル手前」 [本☆☆☆]


真実の10メートル手前 (創元推理文庫)

真実の10メートル手前 (創元推理文庫)

  • 作者: 米澤 穂信
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2018/03/22
  • メディア: 文庫



ジャーナリスト 太刀洗万智を主人公とした連作短編です。
さよなら妖精』ではサブキャラだった彼女、正直覚えていませんでした[ふらふら]

「真実の一〇メートル手前」「正義漢」「恋累心中」「名を刻む死」「ナイフを失われた思い出の中に」「綱渡りの成功例」の6編が収められています。

高校生の心中事件。二人が死んだ場所の名をとって、それは恋累心中と呼ばれた。週刊深層編集部の都留は、フリージャーナリストの太刀洗と合流して取材を開始するが、徐々に事件の有り様に違和感を覚え始める……太刀洗はなにを考えているのか? 滑稽な悲劇、あるいはグロテスクな妄執──己の身に痛みを引き受けながら、それらを直視するジャーナリスト、太刀洗万智の活動記録。
(出版社HPより)

ジャーナリストとはどうあるべきか、を太刀洗は常に自問自答しているようです。

事件があって、取材をする太刀洗がインタビューを通じて隠された真相に迫る物語はミステリとして読み応えがあります。些細な違和感や発言の齟齬を通じて当事者が隠そうとしているものに、通常とは異なる視点で太刀洗が深く切り込んでいく過程は小説を読むという楽しみがあります。

その一方で報道することの意義・意味・影響といったジャーナリストの在り方と、太刀洗のスタンスから報道機関のありようというものに対する問題提起にも取れました。

怜悧な印象からクールビューティと評される太刀洗のイメージを想像してしまいました。

シリーズ続編の『王とサーカス』も楽しみです。(時系列ではこちらが先のようなんですが、まだ文庫化されていない)

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吉永南央さん「まひるまの星 紅雲町珈琲屋こよみ」 [本☆☆]


まひるまの星 紅雲町珈琲屋こよみ (文春文庫)

まひるまの星 紅雲町珈琲屋こよみ (文春文庫)

  • 作者: 吉永 南央
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2018/03/09
  • メディア: 文庫



「紅雲町珈琲屋こよみ」シリーズ第5弾です。
先の見えない重苦しい展開でしたが、永年のわだかまりが解けるラストにほっとしました。

「母の着物」「探しもの」「冷や麦」「夏祭り」「まひるまの星」の5編が収められています。

北関東の小さな町で、コーヒー豆と和食器を扱う店「小蔵屋」を営むおばあさん、杉浦草。
人生経験と、丁寧に紡いできた人間関係を通して、街で起こる事件のあれこれを解決に導いてきたが、ある日、町の山車蔵の移転問題がもちあがり、小蔵屋の敷地が第一候補に。
町内の話し合いが必要だが、草は亡き母の遺言で「うなぎの小川」にだけはこの二十年行くことができず、移転問題の話し合いが思うようにいかない。
かつては親友だった「うなぎの小川」の女将とお草の母の間に、一体なにがあったのか。祭りの音が響く真夏の紅雲町を歩き回るうち、お草は町全体に関わる過去のある重い事実にたどり着く。
ほっこりとあたたかな日常の奥に覗く闇がドキドキさせる、ヒットシリーズ第5弾。
(出版社HPより)

町内会の山車蔵の移転がきっかけになって永年の懸案事項が紆余曲折を経て解決します、
こういうことってありますよね。

ただ、すこしヘビーでした。
「うなぎの小川」の女将とお草さんの母の仲違いの原因となったものについて、なんとなく「これかな」と当て推量はつくのですが、お草さんらしい決着のつけかたに納得しつつも危ういものも感じました。

小蔵屋で働く久美や、運送屋の寺田などお草さんが信頼を寄せる仲間の手助けや、友人の由紀乃との他愛もない遣り取りが暗雲を払ってくれるように感じました。

ずっと続いてほしいシリーズです。

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ジャン=ポール・エヴァンのガトー(ケーキ) [お店]

https://www.jph-japon.co.jp/

グアヤキルとショコラ フランボワーズです。

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グアヤキルは濃厚で滑らかなチョコレートを存分に味わうことができます。カカオの香りが口いっぱいに広がります。

ショコラ フランボワーズはまったりしたチョコレートの甘さとラズベリーの甘酸っぱさのバランスがいいです。

ハイレベルなチョコレートを堪能しました。
ご馳走様でした。

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東野圭吾さん「虚ろな十字架」 [本☆☆]


虚ろな十字架 (光文社文庫)

虚ろな十字架 (光文社文庫)

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2017/05/11
  • メディア: 文庫



刑罰とはなにか、贖罪とはなにかを考えさせられる重い作品です。それでいて、しっかりミステリです。

中原道正・小夜子夫妻は一人娘を殺害した犯人に死刑判決が出た後、離婚した。数年後、今度は小夜子が刺殺されるが、すぐに犯人・町村が出頭する。中原は、死刑を望む小夜子の両親の相談に乗るうち、彼女が犯罪被害者遺族の立場から死刑廃止反対を訴えていたと知る。一方、町村の娘婿である仁科史也は、離婚して町村たちと縁を切るよう母親から迫られていた――。
(出版社HPより)

再犯率の高さと、刑罰がどれだけ罪と向き合う効力を持っているのか。厳然たる事実に懲役刑が自らの犯した罪に向き合う(=更生)につながっていないという問題提起になっています。

一方で刑法のシステムが硬直化しているのではないかという警鐘も鳴らしています。

それだけに結末が、彼らの下した決断が本当に正しかったのか判断付きませんでした。

ただ、小夜子が殺されるきっかけになった行動については、同情はできますが、理解はできませんでした。

重いテーマとミステリの融合は見事です。

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