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澤田瞳子さん「若冲」 [本☆☆]


若冲 (文春文庫)

若冲 (文春文庫)

  • 作者: 澤田 瞳子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/04/07
  • メディア: 文庫



ただひたすら絵と向き合った江戸時代の画家の伊藤若冲の生涯を描いた作品です。
彼の本質にまで迫れたのかというと…。

奇才の画家・若冲が生涯挑んだものとは――
今年、生誕300年を迎え、益々注目される画人・伊藤若冲。緻密すぎる構図や大胆な題材、新たな手法で周囲を圧倒した天才は、いったい何ゆえにあれほど鮮麗で、奇抜な構図の作品を世に送り出したのか? デビュー作でいきなり中山義秀賞、次作で新田次郎賞を射止めた注目の作者・澤田瞳子は、そのバックグラウンドを残された作品と史実から丁寧に読み解いていく。
底知れぬ悩みと姿を見せぬ永遠の好敵手――当時の京の都の様子や、池大雅、円山応挙、与謝蕪村、谷文晁、市川君圭ら同時代に活躍した画師たちの生き様も交えつつ、次々に作品を生み出していった唯一無二の画師の生涯を徹底して描いた、芸術小説の白眉といえる傑作だ。
(出版社HPより)

若冲が絵を描く動機はなにか、というところに焦点を絞って物語が進められていますが、寡黙な主人公に代わって異母妹のお志乃の視点で語ることで焦点がぼやけてしまっています。
最終章で語り手が若冲になるのですが、唐突感が否めません。

市井の人たちの資料というのはほぼ残っていないこともありますし、登場人物の胸の内を描き出すといった作家の創造性が小説の魅力ではありますが、腑に落ち共感できないと魅力が削がれてしまいます。

家業も投げうって、しまいには弟に家督を譲って隠居してまで絵を描くことにのめり込んだ理由が亡き妻のためだったというのは、なんだか弱い気がしました。

池大雅や円山応挙や与謝蕪村といった同時代の京都を生きた画人たちも登場します。
そこも交流らしき交流が描かれることもなく、同業者から刺激を受けた気配も感じられなかったためになんだかぼんやりした印象しか残りませんでした。

ただ一心不乱に絵に打ち込んだ画家の生涯が圧倒的に迫ってきた作品でした。

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omachi

もう読まれましたか、
歴史探偵の気分になれるウェブ小説を知ってますか。 グーグルやスマホで「北円堂の秘密」とネット検索するとヒットし、小一時間で読めます。北円堂は古都奈良・興福寺の八角円堂です。 その1からラストまで無料です。夢殿と同じ八角形の北円堂を知らない人が多いですね。順に読めば歴史の扉が開き感動に包まれます。重複、 既読ならご免なさい。お仕事のリフレッシュや脳トレにも最適です。物語が観光地に絡むと興味が倍増します。平城京遷都を主導した聖武天皇の外祖父が登場します。古代の政治家の小説です。気が向いたらお読み下さいませ。(奈良のはじまりの歴史は面白いです。日本史の要ですね。)

読み通すには一頑張りが必要かも。
読めば日本史の盲点に気付くでしょう。
ネット小説も面白いです。
by omachi (2018-11-14 11:28) 

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