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安部龍太郎さん「等伯」 [本☆☆☆]


等伯 上 (文春文庫)

等伯 上 (文春文庫)




等伯 下 (文春文庫)

等伯 下 (文春文庫)

  • 作者: 安部 龍太郎
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2015/09/02
  • メディア: 文庫



直木賞受賞作です。日本経済新聞で連載していたのを読んではいましたが、やはり通しで読むと違いますね。

能登・七尾で武士の家に生まれた信春は、長谷川家の養子となり絵仏師として名声を得ていた。都に出て天下一の絵師になるという野望を持っていた彼だが、主家の内紛に巻き込まれて養父母を失い、妻子とともに故郷を追われる。戦国の世に翻弄されながらも、己の信念を貫かんとした絵師・等伯の誕生を描く。
敵対していた信長が没して不安から解放された等伯だが、その後も永徳を頭とする狩野派との対立、心の師・千利休の自刃、息子の死など、たび重なる悲劇に見舞われる。窮地に立たされながら、それでも己の道を信じた彼が、最後にたどりついた境地とは―。直木賞受賞、長谷川等伯の生涯を骨太に描いた傑作長編。
(「BOOK」データベースより)

能登を追われるようにして京都に辿りついた等伯こと長谷川信春が絵師として頭角を現し、最後には一派を構えるまでの人生が描かれています。

困窮の中からのし上がっていく姿と、大家になってからも続く波乱万丈の人生は読んでいて飽きないです。その人生がどうだったのかを知らないだけに猶更です。

天才絵師の情熱と、多くの肉親を見送った後悔と苦悩は読んでいて重くのしかかってきます。安部さんの筆力ならでは。

ライバル関係にある狩野永徳率いる狩野派との軋轢は「そこまでしなくても」というくらい狩野派がヒール役に描かれているとともに、狩野永徳を凡庸な絵師として表現していて、貶め方がハンパないです。

非常に読み応えのある作品です。

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冲方丁さん「光圀伝」 [本☆☆☆]


光圀伝 (上) (角川文庫)

光圀伝 (上) (角川文庫)




光圀伝 (下) (角川文庫)

光圀伝 (下) (角川文庫)

  • 作者: 冲方 丁
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2015/06/20
  • メディア: 文庫



天地明察』があまりにも面白く、感動したので、こちらも手に取ってみました。
水戸黄門様の生涯を描いた本作品も期待を裏切ることのない出来栄えです。

なぜ「あの男」を自らの手で殺めることになったのか―。老齢の光圀は、水戸・西山荘の書斎で、誰にも語ることのなかったその経緯を書き綴ることを決意する。父・頼房に想像を絶する「試練」を与えられた幼少期。血気盛んな“傾奇者”として暴れ回る中で、宮本武蔵と邂逅する青年期。やがて学問、詩歌の魅力に取り憑かれ、水戸藩主となった若き“虎”は「大日本史」編纂という空前絶後の大事業に乗り出す―。生き切る、とはこういうことだ。誰も見たこともない「水戸黄門」伝、開幕。
(出版社HPより)

時代的には徳川幕府第3代の時代に武断政治から文治政治への移行する転換期ということで、光圀が果たした役割は大きかったようです。

幼少期から始まって、やんちゃな青年期を経て、水戸藩主となってからは人が変わったように思慮深くなります。
その時々で出会う人によって人生が変わる(なかでも宮本武蔵の登場には意外性がありました)様子がうまく描かれていました。
そして詩歌への熱中を経て『大日本史』の編纂へ。

並行して描かれるのが、三男だった光圀が水戸藩主となったことへの反問です。出生上の理由があったとしても暗愚でない長男を差し置いて後継となることへの複雑な心境が時々の光圀の行動に表れます。

また、冒頭の光圀の手記に出てくる「余が殺めた男」とは誰なのか、なぜ殺したのかという謎もあり、単なる歴史小説ではない(でもミステリではない)面白さがあります。

泰姫の臨終のシーンははからずも泣いてしまいました。公共の場でなくてよかった…。

実に読み応えのある物語でした。

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本多孝好さん「ストレイヤーズ・クロニクル ACT-3」 [本☆☆☆]


ストレイヤーズ・クロニクル ACT-3 (集英社文庫)

ストレイヤーズ・クロニクル ACT-3 (集英社文庫)




とうとう終幕です。
本多さんらしからぬ、という印象だった本作ですが、そのイメージを見事に覆してくれました。

常人とかけ離れた特殊な能力を持っている昴、沙耶、隆二、良介。四人は同じ施設で育ち、特別な絆で結ばれていた。
しかし、政治家・渡瀬浩一郎に仲間のひとり、亘を人質にとられ、裏の仕事をしていた。
昴は世間を賑わす殺人集団・アゲハを捕まえろと渡瀬から命令を受けるが、攻防の中、自分たちに似た力を持つ彼らが同じプロジェクトの別ラインであったことを知る。
渡瀬の企みが読めない昴は仲間を守るため、元自衛隊の井原から戦闘訓練を受け始める。
いよいよ政権与党の防衛副大臣となった渡瀬。密かに進めていた企みを始動させ、不要となった昴に刃をむける。
昴は亘を取り戻すため、渡瀬が密かに計画を進めている富士の麓の軍事演習場に向かう。
そこにはアゲハの姿があり、彼らも異形の存在である自分たちの生みの親、渡瀬の命を奪いにきていたのだ。
それぞれの目的を遂げるために、壮絶な戦いが幕を開ける―。
新感覚のアクション超大作、堂々完結!
(出版社HPより)

ACT-2でのアゲハによる容赦のない殺戮から一転して、静かすぎる幕開けとなりますが、終盤に向けてじわじわとボルテージが上がってきます。
乗せられるようにページが進みます。完全にペースに乗せられてしまっていました。

謎として残っていたアゲハの過去やメンバーの能力などが次第に明らかになっていきます。
…しかし、学の能力(といっていいのか?)は意外でした。なるほど、アゲハのメンバーが必死になって守ろうとするわけだ…。
そして人類をはるかに凌駕する能力を持ってしまったゆえの苦悩もひしひしと感じました。

反面、アゲハの能力が異形すぎて昴たちの影が薄くなってしまったように思えます。

ラストをどう捉えるかは読み手によって異なるかもしれませんが、個人的には少なくとも光明を見出したように思いました。

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藤井太洋さん「Gene Mapper -full build-」 [本☆☆☆]


Gene Mapper -full build- (ハヤカワ文庫JA)

Gene Mapper -full build- (ハヤカワ文庫JA)




電子書籍を自己出版した作品です。かなり話題になっていたので「本」で読んでみました。
近い未来のリアリティとその世界観に圧倒されました。すごい作品です。

拡張現実が広く社会に浸透し、フルスクラッチで遺伝子設計された蒸留作物が食卓の主役である近未来。遺伝子デザイナーの林田は、L&B社のエージェント黒川から自分が遺伝子設計した稲が遺伝子崩壊した可能性があるとの連絡を受け原因究明にあたる。ハッカーのキタムラの協力を得た林田は、黒川と共に稲の謎を追うためホーチミンを目指すが―電子書籍の個人出版がたちまちベストセラーとなった話題作の増補改稿完全版。
(「BOOKデータベースより)

たまに本格SFを読むと、その世界観に圧倒されます。
ただ、いろんな余裕がないと読めないんですが。

現在のIT技術の延長線上にありつつも変容させている世界は「あるかもしれない」未来の一端を垣間見せてくれます。
仮想現実、遺伝子工学、生物工学、それらを駆使する技術者たちは地理的制約や組織の枠組みにとらわれず仕事を請け負っている世界です。その反面、分業化されてしまってもいます。
それらがわかりやすく(わからなくても読み飛ばして差し支えありません)描写されるので、イメージしやすく物語に没頭できます。

ミステリ色もあり、すわ世界を席巻するかもしれない危機というサスペンス色もあり、分量はあるのですが時間を忘れて楽しめました。

SFの醍醐味を堪能しました。

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近藤史恵さん「ヴァン・ショーをあなたに」 [本☆☆☆]


ヴァン・ショーをあなたに (創元推理文庫)

ヴァン・ショーをあなたに (創元推理文庫)




「ビストロ・パ・マル」シリーズ第2弾です。
美味しそうな料理の数々と謎解きという二重においしい作品です。

「錆びないスキレット」「憂さばらしのピストゥ」「ブーランジュリーのメロンパン」「マドモワゼル・ブイヤベースにご用心」「氷姫」「天空の泉」「ヴァン・ショーをあなたに」の7編が収められています。

下町の小さなレストラン、ビストロ・パ・マルでは相変わらず、変わり者の三舟シェフが素敵に美味しい料理の数々で客たちの舌を喜ばせ、相変わらずの名推理で客たちの持ち込む謎を解いてみせます。今回の目玉は、フランス時代の三舟シェフのエピソードが二つ。しかもひとつは、『タルト・タタンの夢』を読まれたあなたもきっと作ってごらんになったでしょう、あのヴァン・ショーにまつわる物語なのです。あなたの〈パ・マル〉へようこそ!
(出版社HPより)

シェフの三舟さんと志村さん、ソムリエの金子さん、そしてギャルソンの高築それぞれのキャラクターも見えてきて、ますます魅力的な店になってきました。

持ち込まれるのは日常の謎ですが、そこに三舟の作る絶品の料理がソースのように絡み合います。更に謎に秘められた「情」が解き明かされるのは後味がいいです。
常連客になった気持ちになります。

三舟のフランスでの修行時代のエピソードには笑いました。
無骨で無愛想で「ミフネ」という名前から連想してフランス人シェフが恐れおののいた正体とは?

続編も楽しみです。

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辻村深月さん「オーダーメイド殺人クラブ」 [本☆☆☆]


オーダーメイド殺人クラブ (集英社文庫)

オーダーメイド殺人クラブ (集英社文庫)




中二ってこんなに鬱陶しかったっけ?

中学二年生の四月、小林アンは突然友人たちから無視される。同級生の昆虫系(イケてないキャラ物男子)、徳川の言葉をきっかけに仲直りするが、「リア充」の、クラス内ヒエラルキー上位の女子グループの“世界の狭さ”に違和感をおぼえる。
実は、死の香りがする「退廃的な美」に強く惹かれ、独自の世界観に誇りを持っているアン。美術部の徳川が書いた絵「魔界の晩餐」にも強く惹かれていた。ある日、その徳川が河原で動物をふみ殺しているような現場を遠くから目撃。気になったアンは徳川に近づき、話をするうちに、お互いの中に共通するセンスを感じる。
母親の無理解、友人たちとの関係に、絶望にも似た閉塞感を抱くアンは、自分の美意識を理解できるのは徳川しかいないと確信、ついには「自分を殺してほしい」と依頼する。
普通の中学二年生とは違う、「特別な存在」となるために、今までになく斬新な、人々の記憶に残る殺人事件を計画するふたり。クラス内階級を超えて密かに相談を繰り返す。
アンと徳川の不思議な関係の行方は、そして二人で作る事件の結末とは…。
(出版社HPより)

前半がやや冗長でした。本の厚みが主人公 アンの中二病的な心理描写で占められていて、正直いって読むのが苦痛でした。

(恐らくは)美少女で、スクールカーストの上位者で、リア充で、「センスのない」家族に失望していて、周囲にも辟易していて(それでいて無視されるのを極端に恐れていて)という中学2年生の女子は、正直いって共感できませんでした。
中二病って男子固有のものだと思っていましたが、女子も罹るんですね。

ただ、アンと徳川が接近して、2人で殺人の計画を立てるようになってから、ようやく物語が動き出したように思います。

イヤミス(ミステリではないか)なのか、どんな結末を迎えるのかと不安半分、期待半分でいたのですが、思いがけない終盤を迎えました。その結末は清々しいもので、いい読後感でした。

辻村さんのストーリイテリングの巧みさを実感しました。

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瀬尾まいこさん「僕らのごはんは明日で待ってる」 [本☆☆☆]


僕らのごはんは明日で待ってる (幻冬舎文庫)

僕らのごはんは明日で待ってる (幻冬舎文庫)




瀬尾さんらしい、心温まる恋愛小説です。でも、それだけじゃない物語です。
じっくり噛みしめて、余韻を楽しみました。

兄の死以来、人が死ぬ小説ばかりを読んで過ごす亮太。けれど高校最後の体育祭をきっかけに付き合い始めた天真爛漫な小春と過ごすうち、亮太の時間が動きはじめる。やがて家族となった二人。毎日一緒に美味しいごはんを食べ、幸せな未来を思い描いた矢先、小春の身に異変が。「神様は乗り越えられる試練しか与えない」亮太は小春を励ますが……。
(出版社HPより)

すべてのものごとに無気力でネガティブだった亮太が、活発で何事にも前向きな小春と出会ったことで本来の姿を取り戻し、付き合い始めるようになります。
そのきっかけが高校の体育祭の競技「米袋ジャンプ」というのが意表を衝いていて面白いです。

その後、紆余曲折があって、やがて一緒に暮らすようになってから2人の将来に影を落とすことになる事態が起こるのですが、ここが一番の読みどころです。
2人はどうやって未来を切り拓くのか。

重くなりがちな作品ですが、真面目で真摯な亮太と明るい小春のキャラクターで読み手の気持ちも前向きにさせられます。彼らを支える周囲の人物たちもいいです。

瀬尾さんらしいハートフルな物語です。

映画化されるんですね、知りませんでした。
キャストはイメージ通りです。どんな仕上がりだろう。
http://bokugoha.com/

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梨木香歩さん「雪と珊瑚と」 [本☆☆☆]


雪と珊瑚と (角川文庫)

雪と珊瑚と (角川文庫)




ファンタジー作品の多い梨木さんには珍しい現代ものです。
ドラマ化を狙ったようなストーリイに違和感を覚えつつも、癒されたいという気持ちが物語にどっぷりと浸かってしまいました。

家庭の金銭的な事情で高校を中退し、以降、親にも頼らず家を出て自力で生活。20歳で結婚し、1年そこそこで離婚した山野珊瑚は、21歳のシングルマザー。生まれたばかりの子ども・雪を預ける場所も、働く環境もなく、途方に暮れていたところ、一人の女性・くららと出会う。そこから珊瑚は、人を元気にする「食」の力に気づかされ、様々な人との出会いに支えられ、心にも身体にもやさしい、総菜カフェをオープンさせることになる─。主人公の珊瑚を通じて、生きることのたくましさ、人のやさしさ、人生の機微を描いた心温まる珠玉の物語。

有機野菜を使った手作り惣菜のカフェ、しかも手つかずの保護樹林の中にあるお店ときたらそれだけで行きたくなってしまいます。入り浸りたくなってしまいます。

一人娘の雪を抱えて一人誰にも頼らずに生きていこうとする珊瑚に、くららをはじめとする周囲の人々が温かい手を差し伸べます。躊躇いながらその手を掴む珊瑚。
シンプルなストーリイなんですが、やっぱり心が温まります。

けれども、ただ甘ったるいだけの物語ではなくて、珊瑚の姿勢を「こきおろす」美知恵の手紙は、第一印象と相性とでバイアスがかかったものであるけれども、それもまた他人からみた一面であることは確かで、物語に深みを与えてくれます。

また、くららが珊瑚に教える素朴な料理の数々が魅力的です。

ただ、主人公の「都合のいい」ように進んでしまうのは残念でもあります。ページ数の制約があったとしても。


今年一年お付き合いくださいまして、ありがとうございました。
来年もよろしくお願いします。

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平石貴樹さん「松谷警部と三ノ輪の鏡」 [本☆☆☆]


松谷警部と三ノ輪の鏡 (創元推理文庫)

松谷警部と三ノ輪の鏡 (創元推理文庫)




シリーズ第3弾です。
複層する事件と伏線がきれいに解決される展開は読んでいてスッキリします。

元プロゴルファー横手祐介の殺害を震源に、ゴルフ場経営や融資に携わる関係者、過去の因縁でつきまとうジャーナリストなど、周辺に複数の死者や行方不明者がいると判明して事件は一挙に多層化、松谷警部らを翻弄する。巡査部長に昇進した白石もまた、不可解な状況を解明する決め手を見いだせないまま焦躁の時を過ごすが……。伏線また伏線、一読三嘆の本格ミステリ。『松谷警部と目黒の雨』『松谷警部と三鷹の石』に続く、充実のシリーズ第三作。
(出版社HPより)

第1作目がアメフト、2作目はカーリングを取り上げて、今作はゴルフです。

探偵役の白石イアイが巡査部長に昇任したり結婚したりと設定が変わっています。
昇任に伴って部下もついたためにワトソン役だった松谷警部の影が薄くなったような気がします。

影が薄くなったといえば白石イアイにちょっかいをかけていた山口警部補も裏付け捜査に回っているせいか、イアイが人妻になったせいか登場場面が減ったように思います。

「チーム松谷」(と勝手に命名)バラバラ感がありました。
反対に新キャラの上原巡査がチャラさ満載で白石巡査部長が呆れるさまが楽しいです。

とはいってもコツコツと捜査を進めて事実を積み上げて真相に辿りついていく過程と、白石イアイが切れ味鋭い推理を披露するシーンは読んでいてスッキリします。

名探偵の推理開陳が松谷警部の家で日本酒を傾けながら、といういつもの場面が緩くていいです。

次作も楽しみです。

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吉田修一さん「路」 [本☆☆☆]


路 (文春文庫)

路 (文春文庫)




台湾新幹線の着工・敷設から開業までをプロジェクトに関わる日本人と台湾人を描いた作品です。
作者の台湾への愛情を感じる作品になっています。

1999年、台湾に日本の新幹線が走ることになり、入社4年目の商社員、多田春香は現地への出向が決まった。春香には忘れられない思い出があった。台湾を旅した学生時代、よく知らないまま一日を一緒に過ごした青年がいた。連絡先をなくし、それ以後ずっと会えないままだった……。台湾と日本の仕事のやり方の違いに翻弄される日本人商社員、車輛工場の建設をグアバ畑の中から眺めていた台湾人学生、台湾で生まれ育ち終戦後に日本に帰ってきた日本人老人、そして日本に留学し建築士として日本で働く台湾人青年。
それぞれをめぐる深いドラマがあり、それらが台湾新幹線の着工から開業までの大きなプロジェクトに絡んでいきます。政治では問題を抱えていても、日本と台湾の間にしっかりと育まれた個人の絆を、台湾の風土とともに色鮮やかに描く『路(ルウ)』。大きな感動を呼ぶ、吉田修一さんの渾身の力作です。
(出版社HPより)

多田春香と劉人豪(エリック)という若い二人の出会い~すれ違い~再会という物語を中心とした、様々な年代の日本人・台湾人たちの群像劇です。

台湾の自然・風土・文化といったものが色濃く描写されていると思いますし、台湾で生まれて終戦時に日本に引き揚げてきた人たちを通して歴史的な日本と台湾の関わりといったものも描かれています。

数日間、それも台北だけの滞在でしたが、気候も食べ物も人々も魅力的でした。そんな個人的な好意的な気持ちもあると思いますが、この作品に同じ空気を感じました。
多分ですが、吉田さんも親近感や好意を抱いているのではないでしょうか。

数年という時間の中でのトピック的な章立てのせいか、深堀りが足りない気もしますが、気持ちのいい読後感がありました。

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