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北山猛邦さん「先生、大事なものが盗まれました」 [本☆☆]


先生、大事なものが盗まれました (講談社タイガ)

先生、大事なものが盗まれました (講談社タイガ)

  • 作者: 北山 猛邦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/04/19
  • メディア: 文庫



凪島という架空の島を舞台に「何が(What?)盗まれたか?」をテーマにしたミステリです。

「先生、記念に一枚いいですか」「先生、待ち合わせはこちらです」「先生、なくしたものはなんですか」の3つの中編が収められています。

愛や勇気など、形のないものまで盗む伝説の怪盗・フェレス。その怪盗が、凪島のアートギャラリーに犯行後カードを残した!
灯台守高校に入学した雪子は、探偵高校と怪盗高校の幼馴染みとともに捜査に乗り出す。だが盗まれたものは見つからず、事件の背後に暗躍する教師の影が。
「誰が(Who?)?」ではなく「どうやって(How?)?」でもなく「何が(What?)盗まれたのか?」を描く、傑作本格ミステリ誕生!
(出版社HPより)

「猫柳十一弦」シリーズで探偵助手学部なるものを作り出した北山さんですが、今度は「探偵を養成する『御盾高校』」、「怪盗の技術を教える『黒印高校』」「悪事の前になると輝く、という灯台の灯が入ったペンダントが配られる『灯台守高校』」という設定を作り出し、幼馴染3人をそれぞれ配して怪盗フェレスを追いかけさせます。

設定も登場人物たちも面白いです。探偵と怪盗と「灯台守」が均衡を保っているというのも面白い。

しかし、モノではなく、概念を盗むとか、難しい。。。
わかったような、わからないような。。。

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有栖川有栖さん「臨床犯罪学者・火村英生の推理 II ロシア紅茶の謎」 [本☆☆]


臨床犯罪学者・火村英生の推理 II ロシア紅茶の謎 (角川ビーンズ文庫)

臨床犯罪学者・火村英生の推理 II ロシア紅茶の謎 (角川ビーンズ文庫)

  • 作者: 有栖川 有栖
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/12/28
  • メディア: 文庫



シリーズ2作目は趣向に富んだ作品集で、読みやすく面白いです。

「動物園の暗号」「屋根裏の散歩者」「赤い稲妻」「ルーンの導き」「ロシア紅茶の謎」「八角形の罠」の6編が収められています。

エラリー・クイーンの〈国名シリーズ〉のひそみに倣(なら)った会心の第1作品集。奇怪な暗号、消えた殺人犯人、ダイイングメッセージ。そして極めつきの「読者への挑戦」付き犯人探しなど、本格ミステリの醍醐味が味わえる粒ぞろいの6篇。犯罪臨床学者・火村英生と駆け出しミステリ作家・有栖川有栖の絶妙コンビ!
(出版社HPより)

暗号もの、密室状況での人間消失、ダイイング・メッセージ、毒殺トリック、読者への挑戦状つき犯人探し等々とミステリの様々なジャンル(?)を盛り込んだ作品で、どれもひねりが効いていて、種明かしで「なるほど!」と思わせるものばかりでした。

探偵役の火村英生と助手の有栖川有栖の関係性もいいですね。
関西弁全開の有栖と標準語の火村のやりとりも近しい感じで軽快です。

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太田忠司さん「明日、世界が終わるとしても」 [本☆☆]


明日、世界が終わるとしても (PHP文芸文庫)

明日、世界が終わるとしても (PHP文芸文庫)

  • 作者: 太田 忠司
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2016/05/06
  • メディア: 文庫



単行本時の『虹とノストラダムス』を改題したものです。個人的には文庫版のタイトルのほうが好きです。
太田さんの自伝的要素を含んだ小説です。ミステリではありませんでした。

それは新たな悲劇か。それとも、悲劇を乗り越えた希望か。
一九九九の年、七の月、空から恐怖の大王が降ってくるだろう――ノストラダムスの予言を知った四人の高校生は「死」を思い、残された期限をどう生きるかを考える。その記憶は、大人になった彼らの人生に意外な影響を与えていくのだった。夢に挑む史生、意外な職につく恵津子。時代の荒波に揉まれながらも「生きること」に真摯に向き合う彼らの姿を描く、胸を揺さぶる物語。
(出版社HPより)

出版社の惹句は内容と多少違います。たまにありますが、これでいいのか?と思います。

この作品の登場人物たちのように思春期に『ノストラダムスの大予言』を知って影響を受けた人は多いんでしょうね。
その影響が歳を取るにつれて様々な形に変わっていく様子を描いています。なかなか重いテーマです。

はじめに改題したタイトルのほうが好き、と書きましたが、読み終わってから、改題しちゃいけなかったんじゃないかと気が付きました。。。

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池上永一さん「統ばる島」 [本☆☆]


統ばる島 (角川文庫)

統ばる島 (角川文庫)

  • 作者: 池上 永一
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2015/05/23
  • メディア: 文庫



沖縄の八重山諸島を舞台にした短編集です。
各タイトルを見たら、半分近くの島を訪れていました。

「竹富島」「波照間島」「小浜島」「新城島」「西表島」「黒島」「与那国島」「石垣島」「鳩間島-文庫書き下ろし-」の9編が収められています。

沖縄県八重山諸島は古くから自らを象徴する星々を愛でてきた。星々には島ごとの神が宿り、親島である石垣島には、そんな島の神々が近況を伝え合う御嶽があった。八重山諸島の言い伝えによれば島と島は家族のようにつながり支え合っているという。神々が群星御嶽に集うとき、再会した親子の会話は宴となり、新たな物語となってともに輝きを増していく―。唄の島と言われる、鳩間島を舞台にした文庫版書き下ろし短編も収録!!
(「BOOK」データベースより)

池上さんの故郷でもある八重山諸島を舞台に、宗教観、民間伝承、風習、伝統を織り込んだ短編集はファンタジーあり、オカルトチックあり、伝奇小説ありとバリエーションも豊かです。

離島の島々がそれぞれ特色のある顔を持ち、魅力にあふれた物語を展開し、『石垣島』で集約する展開は疑似体験にも似た感覚を持ちました。

ある意味で池上さんの集大成といえる作品かもしれません。

…そういえば最近池上さんの新作を読んでないな…。

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三浦しをんさん「神去なあなあ夜話」 [本☆☆]


神去なあなあ夜話 (徳間文庫)

神去なあなあ夜話 (徳間文庫)

  • 作者: 三浦しをん
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2016/06/03
  • メディア: 文庫



神去なあなあ日常』の続編です。こちらは短編集です。

「神去村の起源」「神去村の恋愛事情」「神去村のおやかたさん」「神去村の事故、遭難」「神去村の失せもの探し」「神去村のクリスマス」「神去村はいつもなあなあ」の7編が収録されています。

三重県の山奥、神去村に放りこまれて一年が経った。最初はいやでたまらなかった田舎暮らしにも慣れ、いつのまにか林業にも夢中になっちゃった平野勇気、二十歳。村の起源にまつわる言い伝えや、村人たちの生活、かつて起こった事件、そしてそして、気になる直紀さんとの恋の行方などを、勇気がぐいぐい書き綴る。人気作『神去なあなあ日常』の後日譚。みんなたち、待たせたな!
(「BOOK」データベースより)

やはり最初のインパクトに比べると豪放さやハチャメチャさで物足りなさを感じます。
三浦さんの小説というだけでハードルが上がっているのもありますが。

ヨキの家に居候している勇気が、ヨキ宅に使われずに放置されていたパソコンに書き綴った文章という体裁をとっているので、親密感があります。
「パソコンなんて誰も使えないだろ」と思っていたらヨキの祖母の繁ばあちゃんにしっかりバレているシーンは、繁ばあちゃん恐るべし、でした。

また、『神去村のクリスマス』は一番面白かったです。
勇気の勤める会社の社長(親方)の小学生の一人息子がクリスマスに興味を持ったことから、クリスマスパーティーをやろう、というお話です。
とはいえ、山奥の神去村なので「それらしい」を突き抜けて「こんなもんじゃろ」というアイテムが続出します。
クリスマスツリーは山で伐ってきた松の木だし、なぜか獅子舞が踊り狂うし。

けれど、ハチャメチャな展開に持ち込みながらもしっかりと締めるところは流石三浦さんです。

勇気が一目ぼれした直紀との仲がなかなか進展しないのはやきもきしますが、ちょっとずつ距離が縮まっているので気長に見守りたいと思います。

お仕事小説や勇気の成長物語ではありませんが、続編も楽しみです。

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北森鴻さん、浅野里沙子さん「天鬼越」 [本☆☆]


天鬼越: 蓮丈那智フィールドファイルV (新潮文庫)

天鬼越: 蓮丈那智フィールドファイルV (新潮文庫)

  • 作者: 北森 鴻
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/03/27
  • メディア: 文庫



北森さんが亡くなり蓮丈那智シリーズも終わり(泣)…と思っていたら、関係者の皆さんのおかげで読むことができました。ありがとうございます。

北森さんによる作品「鬼無里」「奇偶論」と、北森さん原案による「天鬼越」他を浅野里沙子さんが書き継いだ短編集です。

「鬼無里」「奇偶論」「祀人形」「補堕落」「天鬼越」「偽蜃絵」の6編です。

鬼無里(きなさ)が、消える……。民俗学者・蓮丈那智(れんじょうなち)と助手の内藤三國(みくに)は差出人不明のメールを受け取り、かつて訪れたH村に思いを馳せる。5年前、鬼の面をつけ、家々を練り歩く神事の最中、殺人事件が起きたのだった。誘(いざな)われるようにふたたび向かった村では、ある女性が待っていた――。著者急逝から6年、残された2編と遺志を継いで書かれた4編を収録。歴史民俗ミステリ、堂々たる終幕!
(出版社HPより)

浅野さんにとっては難しい仕事だったと思いますが、蓮丈那智と助手の内藤三國のやりとりなど不自然さを感じませんでした。

フィールドワーク先で必ずといっていいほど巻き込まれる殺人事件もさることながら、民俗学的考察もある種のミステリ色を帯びていて、蓮丈と内藤ともう一人の助手の佐江由美子が繰り広げる議論も読み応えがあります。

殺人事件の解決の裏に見えてくる、古代から連綿と続く祭祀や奇祭が意味するものとの関係といった土着性も物語にうまく組み込まれているように思いました。
歴史民俗ミステリの醍醐味だと思います。

また、「万年助手」の内藤三國がしっかりと成長(?)してきたのも、それを蓮丈が認めているのも嬉しいできごとでした。

恐らく、本当に最後の物語を堪能しました。
ありがとうございました。

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石持浅海さん「わたしたちが少女と呼ばれていた頃」 [本☆☆]


わたしたちが少女と呼ばれていた頃 (祥伝社文庫)

わたしたちが少女と呼ばれていた頃 (祥伝社文庫)

  • 作者: 石持 浅海
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2016/03/11
  • メディア: 文庫



碓井優佳シリーズ第4作です。

「赤信号」「夏休み」「彼女の朝」「握られた手」「夢に向かって」「災い転じて」「優佳と、わたしの未来」の7編が収録されています。

横浜にある女子高に通うわたし、上杉小春には碓氷優佳という自慢の親友がいる。美しく聡明な彼女はいつも、日常の謎に隠された真実を見出し、そっと教えてくれた。赤信号のジンクス、危険な初恋、委員長の飲酒癖、跡継ぎ娘の禁じられた夢、受験直前の怪我、密かな失恋…。教室では少女たちの秘密が生まれては消えてゆく。名探偵誕生の瞬間を描く青春ミステリーの傑作。
(「BOOK」データベースより)

過去3作が殺人犯の視線から語られる倒叙ミステリだったと違って、学生時代の優佳が謎を解く「日常の謎」系ミステリです。

表面上の謎解きだけに留まらず、奥底まで見通す鋭すぎる頭脳は恐怖ですね。
面と向かい合っただけで全てを見透かされそうです。御免蒙りたい。

ただ、優佳の親友だった小春が最後に行き着いたのと同じ理由で作品に魅力を感じませんでした。

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北山猛邦さん「つめたい転校生」 [本☆☆]


つめたい転校生 (角川文庫)

つめたい転校生 (角川文庫)

  • 作者: 北山 猛邦
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2016/03/25
  • メディア: 文庫



ミステリ色はさほどでもないです。むしろ設定の妙を楽しむファンタジーのような気がします。

「かわいい狙撃手」「つめたい転校生」「うるさい双子」「いとしいくねくね」「はかない薔薇」「ちいさいピアニスト」の6編が収められています。

何もかも理想通りで、身悶えするほどキュートな彼。あるとき彼が殺し屋なんじゃないかと不安になり…(「かわいい狙撃手」)。ある初冬の日、クラスメイトが見守る倉庫から、転校生が忽然と消えた。彼女は幽霊?(「つめたい転校生」)。寂しい少年時代に出会ったたったひとりの友達は、人を殺す妖怪?(「いとしいくねくね」)など、人と人でないものとの切ない恋をめぐる、驚きのトリックが冴えるミステリー短編集。
(「BOOK」データベースより)

単行本のタイトルは『人外境ロマンス』だったそうで、作品の内容はよりこのタイトルに近いと思います。
人と「人外」の恋愛要素の強い作品で、さて「人外」とは?がミステリ要素となっています。

ファンタジー要素に隠された謎解き、こういうミステリもありかなと思います。

思わず和んでしまう結末が多かったです。

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伊坂幸太郎さん「ガソリン生活」 [本☆☆]


ガソリン生活 (朝日文庫)

ガソリン生活 (朝日文庫)

  • 作者: 伊坂幸太郎
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2016/03/07
  • メディア: 文庫



まさかの「車」が主人公の小説です。
おかしさ満載です。

実のところ、日々、車同士は排出ガスの届く距離で会話している。本作語り手デミオの持ち主・望月家は、母兄姉弟の四人家族(ただし一番大人なのは弟)。兄・良夫がある女性を愛車デミオに乗せた日から物語は始まる。強面の芸能記者。不倫の噂。脅迫と、いじめの影―?大小の謎に、仲良し望月ファミリーは巻き込まれて、さあ大変。凸凹コンビの望月兄弟が巻き込まれたのは元女優とパパラッチの追走事故でした―。謎がひしめく会心の長編ミステリーにして幸福感の結晶たる、チャーミングな家族小説。
(「BOOK」データベースより)

ストーリイそのものはありきたりですが、車同士が話している世界というのが面白いです。
車種によってキャラが違うというのも納得感があって楽しめます。
車輪の数が多いほど知性が高いと車たちは考えていて、電車に畏敬の念を覚えているとか、自転車とはそもそもコミュニケーションがとれないという設定も面白かったです。

また、人間の会話はわかるんですが、車から話しかけたり意思表示ができないという制約がもどかしいです。ワイパーで否定とかしてほしい。

ミステリよりも設定で楽しんでしまいました。


文庫版カバー裏に掌編「ガソリンスタンド」が! なんかお得感があります。

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初野晴さん「向こう側の遊園」 [本☆☆]


向こう側の遊園 (講談社文庫)

向こう側の遊園 (講談社文庫)

  • 作者: 初野 晴
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/06/13
  • メディア: 文庫



ファンタジー色の強いミステリです。なかなかに重いです。

「カマラとアマラの丘-ゴールデンレトリーバー-」「ブクウスとツォノクワの丘-ビッグフット-」「シレネッタの丘-天才インコ-」「ヴァルキューリの丘-黒い未亡人とクマネズミ-」「星々の審判」の5編が収録されています。

そこは、ひとが愛を葬る墓地だった。
花々が咲き乱れる廃園となった遊園地。そこには、謎めいた青年が守る秘密の動物霊園があるという。「自分が一番大切にしているものを差し出せば、ペットを葬ってくれる」との噂を聞いて訪れる人々。せめて最期の言葉を交わせたら……。ひとと動物との切ない愛を紡いだミステリー。
(出版社HPより)

舞台設定が幻想的で、ファンタジーっぽくあるのですが、リアルな寓話作品だと思います。
ミステリ色は薄めな気がします。

人と動物の関わり、人間に弄ばれる動物の悲劇と痛み、人間の犯した罪を考えさせられました。

重い物語でしたが、魅力的で読み応えのある小説でした。

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