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朱川湊人さん「満月ケチャップライス」 [本☆☆]


満月ケチャップライス (講談社文庫)

満月ケチャップライス (講談社文庫)




NHK BSドラマ「本棚食堂」で料理の題材になっていたので、読んでみました。
それ以外の料理も簡単でおいしそうでした。

兄妹と母さんが暮らす家に料理上手のモヒカン男がやってきた。繰り出すメニューは、男同士のムニエルにブロッコリーのウソピザ、満月ケチャップライス。家族の仲間入りのお礼にスプーン曲げの超能力まで授けてくれた。その超能力を狙う怪しい宗教団体が周囲をうろつき出し…。忘れられない「家族」の物語。
(「BOOK」データベースより)

どこに行くのかわからないけれど、なんだかほっこりする展開に浸っていたら、予想もしない方向(それも個人的に好ましくない)に流れていきました。

謎の宗教団体を実在の団体(オウム)と酷似させることの意味はなんだったんでしょう?現実はそこまで物語を受け入れるほど昇華されていないように感じます。
このために物語世界に違和感を覚えました。

前半と後半でガラッと変わってしまった物語が残念です。

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樋口有介さん「猿の悲しみ」 [本☆☆]


猿の悲しみ (中公文庫)

猿の悲しみ (中公文庫)




女性を主人公にしたハードボイルドです。
文体が柚木草平シリーズと同じ、というか樋口節なのでずっと既視感がありました。

弁護士事務所で働く風町サエは、殺人罪で服役経験を持つシングルマザー。十六歳で不登校の息子がいる。表向きは事務員だが、実際には様々な手口で依頼主の要望に応える調査員。プロ野球選手とモデルの離婚慰謝料を巡り動くサエだったが、同時にある殺害事件についての調査も言い渡される。歪んだ愛の発端は三十四年前に遡り―。
(「BOOK」データベースより)

解説にあるように、女性が主人公である必然はわかりました。けれど、主人公の心情なりにもう少し突っ込んでもいいような気がしました。

事件の「解決」ではなく「結末」を迎えるというところがハードボイルドらしいかな、と思います。

柚木草平シリーズのキャラクターがカメオ出演しています。もちろん、草平本人も!(「ミミズの研究者」も)

続編『笑う少年』も楽しみです。

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朱川湊人さん「サクラ秘密基地」 [本☆☆]


サクラ秘密基地 (文春文庫)

サクラ秘密基地 (文春文庫)




写真にまつわる短編集です。自分の子ども時代よりも昔なのかな。

「サクラ秘密基地」「飛行物体ルルー」「コスモス書簡」「黄昏アルバム」「月光シスターズ」「スズメ鈴松」の6話が収録されています。

〝直木賞受賞作〟『花まんま』や、〝涙腺崩壊〟のキャッチフレーズ『かたみ歌』で、読者の涙を誘った短編の名手・朱川湊人が、家族と写真にまつわるちょっぴり不思議で哀しいお話をお贈りします。二〇一二年秋に、三十九年の長期連載が幕を閉じたミステリ界の巨人・佐野洋氏の連載「推理日記」で、設定の妙を大絶賛された、UFOをでっち上げた同級生の美人の女の子の身の上話「飛行物体ルルー」、とある事故をきっかけにして、優しかった近所のおねえさんの意外な一面を見てしまった少年の淡い慕情の顚末「コスモス書簡」、ぶっきらぼうで、口より手が先に出る不器用な父と、その父に寄り添うように暮らす聡い男の子、そして同じボロアパートに、とある事情で身を隠すように暮らすことになった〝私〟との心の交流を描いた「スズメ鈴松」、ほのかな想いを寄せながら亡くなった同級生の想いが、不思議なカメラに乗り移ってもたらされた写真にまつわる奇妙な出来事「黄昏アルバム」、小学生の男子四人でつくった秘密基地にまつわる哀しい過去を巡る表題作「サクラ秘密基地」など、夕焼けを見るような郷愁と、乾いた心に切ない涙を誘う、短編を六本を収録。
(出版社HPより)

バラエティに富んだ筋書きで、ただの懐古趣味ではなく、現実の重さも描かれているのですが、なんとなく「いい話」止まりな印象が残りました。

ノスタルジックさは朱川さんの作品の特徴ではあるのですが、郷愁を感じなければ共感するのは難しいのかな。

面白く読んだのですが、強く印象に残ったとまではいきませんでした。

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石持浅海さん「煽動者」 [本☆☆]


煽動者 (実業之日本社文庫)

煽動者 (実業之日本社文庫)




この表紙はどうだろう。ローマ字で「sendosya」って…。

テロ組織内部で殺人事件が起きた。この組織のメンバーは、平日は一般人を装い、週末だけ作戦を実行。互いの本名も素性も秘密だ。外部からの侵入が不可能な、軽井沢の施設に招集された八人のメンバー。発生した殺人の犯人は誰か?テロ組織ゆえ警察は呼べない。週明けには一般人に戻らなければならない刻限下、犯人探求の頭脳戦が始まった―。閉鎖状況本格ミステリー!
(「BOOK」データベースより)

『攪乱者』の続編というか、シリーズものです。共通して登場するのは「串本」だけです。かといって串本が探偵役というわけではなく、推理を導くための「先導者」の位置づけです。

石持さん得意のクローズドサークルものです。高セキュリティのテロリストたちの拠点で起こった殺人事件。当然、警察は呼べません。警察による科学捜査は期待できないから、論理だけで犯人を推理するというストーリイ展開です。

動機については「ちょっと…」と思います。「狂信者の犯罪」だとなんでもありになってしまうし。

組織(V)の正体が明らかに。納得の落としどころではありますが、続編があるとすると正体不明の組織についての興味という点でハンデになりそうです。

ラストで育恵が発するセリフは思わずニヤリとさせられるものでした。

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大倉崇裕さん「オチケン探偵の事件簿」 [本☆☆]


オチケン探偵の事件簿 (PHP文芸文庫)

オチケン探偵の事件簿 (PHP文芸文庫)




前作の『オチケン!』『オチケン、ピンチ!!』を読んでいませんでした。
しかし、大倉さんはいろんなことに造詣が深いですね。

「幻の男」「高田馬場」の2編が収録されています。

究極の巻き込まれ型でお人好し探偵が、キャンパスで起こる奇怪な事件の数々に挑む。事件を解く鍵は落語にアリ?
大学入学早々、落語にまったく興味がないのに、廃部寸前のオチケン(落語研究会)に入部させられた越智健一(おちけんいち)。風変わりな二人の先輩にふりまわされ、キャンパス内で起きる奇妙な事件の捜査に駆り出され、必修科目の出席もままならない中、大学は夏季休暇に突入していた。宿題をきっちり仕上げ、前期のリベンジを誓う越智だが、学生落語選手権で優勝を狙う大学間の抗争に巻き込まれ、次々と予想だにしない事件に直面するはめに……。単位取得が遠のいていく、オチケン探偵の活躍を描く連作ミステリー。オチケンの運命や、いかに!?
(出版社HPより)

新入生が変人の先輩に振り回される学園ものが多いのはなぜなんでしょう?
「先輩には逆らえない」という抑圧的なムチャ振りに翻弄される姿がコメディタッチになるんでしょうか。

謎解きが物語中に披露される落語の内容と絡んでくるというのは面白い趣向です。

1作目、2作目を読まねば。

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太田忠司さん「セクメト」 [本☆☆]


セクメト (中公文庫)

セクメト (中公文庫)




ハイブリッド警察小説って、そういうことね。。。

警視庁捜査一課のエリート刑事・和賀千蔭が追う連続「殺人鬼」殺人事件。遺体は体の一部を抉られ、さらに現場には必ず一人の女子高生が現れていた。謎の言葉「わたしはセクメト」わ残し消えた彼女の正体とは?そして事件の裏に潜む、知ってはいけない巨大な闇とは!?驚愕のハイブリッド警察小説シリーズ始動!!
(「BOOK」データベースより)

ミステリなのか、SFなのか、警察小説なのか、物語が進むにつれて様相が変わっていきます。
最後にはごちゃ混ぜになって、もはやジャンルがどうとかいうレベルではなく、流されるままに楽しめ、という小説だと思いました。

色々と謎は残りますが、続編で明かされるんだろうなと思いました。

セクメトの説明のくだりは「トンデモ」系の妄想に思えてしかたありませんでした。
それでも読ませてしまうのは太田さんの筆力でしょうか。

ただ、情報をリークしていた者の正体に意外性がなくてがっかりです。

混沌、といった印象です。

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西條奈加さん「無花果の実のなるころに」 [本☆☆]





西條奈加さんの作品は初めて読みます。
創元推理文庫なのでミステリかと思ったら、人情ものでした。

「罪かぶりの夜」「蟬の赤」「無花果の実のなるころに」「酸っぱい遺産」「果てしのない噓」「シナガワ戦争」の6編が収録されています。

お蔦さんは僕のおばあちゃんだ。もと芸者でいまでも粋なお蔦さんは、面倒くさがりなのに何かと人に頼られる人気者だ。そんな祖母と僕は神楽坂で暮らしているけれど、幼なじみが蹴とばし魔として捕まったり、ご近所衆が振り込め詐欺に遭ったり、ふたり暮らしの日々はいつも騒がしい。神楽坂界隈で起こる事件をお蔦さんが痛快に解決する! あたたかな人情と情緒あふれる作品集。
(出版社HPより)

創元推理文庫なので(?)連作短編集で、1冊の作品としての流れもあります。

神楽坂を舞台に、元芸者さんの祖母、中学生の主人公という設定に興味をもって読み始めたのですが、なんだかんだでお蔦さんのスーパーっぷりだけが残る。語り手の望を含めたほかのキャラの印象が残らない読後感でした。

主人公の望は中3にしては幼いような気がしました。家庭の事情で祖母と二人暮らしで、料理がからっきしダメなお蔦さんに代わって、代々男が包丁を握ってきた家系ならば、もっと大人びていいような気がするのですが。

また、起こる事件がなかなか現代的というかシリアスなのに、結果的にいい人ばかりという結末はどうなんだろうと思いました。

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道尾秀介さん「光」 [本☆☆]


光 (光文社文庫)

光 (光文社文庫)




山間の湖畔の町に暮らす小学生たちの夏から冬にかけて日々を描いた作品です。大仕掛けはないですが、「日常の謎」を散りばめたどこか懐かしさを感じる作品です。

親友の慎司は手先が不器用で、お人好し。宏樹は自慢話ばかり。清孝は哀しいことがあって、少しだけ大人びた。慎司の姉の悦子は、まだ「男友達」だった――。都会から少し離れた山間の町で、小学四年生の利一は、仲間とともに、わくわくするような謎や、逃げ出したくなる恐怖、わすれがたい奇跡を体験する。まるで自分の思い出を振り返っているような自然な読み心地と、小説作品にしか辿り着けない感動。俊英、充実の最新作!
(出版社HPより)

語り手の利一、友人の慎司、宏樹、清孝、悦子たちが際立ってはいなくてもキャラが立っていて、それが家庭事情に沿ったもので身近に感じました。

道尾さんらしい、意表を衝いたどんでん返しはなく、残念でした。

とはいえ、最近の道尾さんの作品の傾向からすると人間関係、家庭環境、友情といった少年時代の日常と成長を描いた作品というのは受け止められるものと思います。

とはいえ、個人的にはまだ、初期の道尾さんらしさとのギャップを受け止められずにいるわけですが…。

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石持浅海さん「フライ・バイ・ワイヤ」 [本☆☆]


フライ・バイ・ワイヤ (創元推理文庫)

フライ・バイ・ワイヤ (創元推理文庫)




近未来学園恋愛ミステリです。いろいろ盛りすぎ[わーい(嬉しい顔)]

隆也のクラスの転入生は、二足歩行のロボットだった! これは病気の少女をロボットを通じて通学させる実験だという。奇妙な転入生にも慣れてきたある放課後、校内で級友が撲殺され、彼女(ロボット)の背中が被害者の血で染まっているのが発見される。殺害の動機は? ロボットと事件の関わりは?! 友人の死に直面した隆也たちを新たな事件が襲う。近未来を舞台にした青春本格ミステリ。
(出版社HPより)

警察の科学捜査の及ばない状況下で、「頭の切れる」登場人物たちが論理だけを積み上げて事件解決につなげるという形のミステリが多い石持さんですが、それを逆手に取ったような作品です。今回は「そういう」登場人物は少ないのですけれど。

犯人と被害者だけしかわかり得ない(という)動機によって起こった殺人事件というのは、裏を返せば警察はそれ以外の要素で犯人逮捕にたどり着くのではないかと思うわけで、近未来の話なのに警察の科学捜査が全く進化していないように感じるのはなぜだろう(笑い)。

だんだんと高まっていく恋愛の要素は、なんだかとってつけたようでした。

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東野圭吾さん「禁断の魔術」 [本☆☆]


禁断の魔術 (文春文庫)

禁断の魔術 (文春文庫)




ガリレオシリーズ第8弾です。
短編で発表した作品を長編化したものです。たまにありますよね、このパターン。

高校の物理研究会で湯川の後輩にあたる古芝伸吾は、育ての親だった姉が亡くなって帝都大を中退し町工場で働いていた。ある日、フリーライターが殺された。彼は代議士の大賀を追っており、また大賀の担当の新聞記者が伸吾の姉だったことが判明する。伸吾が失踪し、湯川は伸吾のある“企み”に気づくが…。シリーズ最高傑作!
(「BOOK」データベースより)

ストーリイはシンプルです。シンプルゆえに物足りなさを感じました。

科学技術を使ったトリックにも意外性を感じませんでした。やはり初期のシリーズのような斬新さは期待できないんでしょうか。

東野さんの書きたいものが人間ドラマに移っているためであれば、仕方ないですね。
しかし、『容疑者Xの献身』ほどの感動もなく、ぼやっとした読後感でした。


それにしても、レールガンを実用化してしまう米軍って、やっぱすごいわ。

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