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東川篤哉さん「私の嫌いな探偵」 [本☆☆]


私の嫌いな探偵 (光文社文庫)

私の嫌いな探偵 (光文社文庫)




烏賊川市シリーズ第7弾、のようです。あれ、そんなに?
コメディ・ミステリというと東川さんしか思い浮かばなくなっています。

「死に至る全力疾走の謎」「探偵が撮ってしまった画」「烏賊神家の一族の殺人」「死者は溜め息を漏らさない」「二〇四号室は燃えているか?」の5編が収録されています。

男が真夜中の駐車場を全力疾走し、そのままビルの壁に激突して重傷を負った。探偵の鵜飼杜夫は、不可解な行動の裏に隠された、重大な秘密を解き明かしてゆく。(「死に至る全力疾走の謎」)烏賊神神社の祠で発見された女性の他殺死体が、いったん消失した後、再び出現した! その驚きの真相とは?(「烏賊神家の一族の殺人」)何遍読んでも面白い、烏賊川市シリーズ傑作集!
(出版社HPより)

相変わらずの面白さです。
といってもミステリ自体の面白さではなく(いや、トリックもしっかり面白いですけど)、探偵の鵜飼杜夫のボケと、探偵事務所があるビルのオーナーの二宮朱美のツッコミ、探偵助手の戸村流平の身体を張ったボケ(こっちは放置!)というトリオ漫才のような面白さです。
そこから(辻褄を合わせるような)鵜飼探偵のキレのある推理披露といった展開はお約束です。

烏賊川市公認(?)ユルキャラ「剣先マイカ」ちゃんの登場とそのキャラには(電車の中で思わず[あせあせ(飛び散る汗)])笑ってしまいました。

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梨木香歩さん「僕は、そして僕たちはどう生きるか」 [本☆☆]


僕は、そして僕たちはどう生きるか (岩波現代文庫)

僕は、そして僕たちはどう生きるか (岩波現代文庫)




岩波現代文庫は初めて手を伸ばしてみたのですが、平易な文章に隠れて難解で重い内容でした。

やあ.よかったら,ここにおいでよ.気に入ったら,ここが君の席だよ――『君たちはどう生きるか』の主人公にちなんで「コペル」と呼ばれる14歳の「僕」.ある朝,染織家の叔父「ノボちゃん」がやって来て,学校に行くのをやめた「ユージン」に会いに行くことに…….そこから始まる,かけがえのない一日の物語
(出版社HPより)

「普通」であることは、ある意味で心地いいものです。「枠」に収まっている。排除されない。同質化している。

その一方で、閉塞感や圧迫感から逃れたい。顔の見えない誰かにはなりたくない。そんな思いも頭をもたげます。

「どう生きるか」を考え続けることはとてもしんどいことです。流されることは楽なことですし、ひとつ間違えると孤立を深めることになるかもしれません。

中学生のときにこんなことを考えていたっけ、と思いました。
だからこそ、いまの中学生に読んでもらいたい作品です。

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恩田陸さん「夜の底は柔らかな幻」 [本☆☆]


夜の底は柔らかな幻 上 (文春文庫)

夜の底は柔らかな幻 上 (文春文庫)




夜の底は柔らかな幻 下 (文春文庫)

夜の底は柔らかな幻 下 (文春文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2015/11/10
  • メディア: 文庫



地方都市シリーズ(?)、今回は途鎖(とさ)です。
相変わらず滑り出しは上々なんですが…。

国家権力の及ばぬ“途鎖国”。特殊能力を持つ在色者である実邦は、身分を隠して途鎖に入国した。闇月といわれる時期、途鎖では多くの者がある目的をもって山深くを目指すが、実邦の周囲にも不穏な空気が満ちる。謎の殺人者、恩師が残したメッセージ、隠された過去の悲劇…。そしてついに創造と破壊の幕が切って落とされる!
復讐を胸に途鎖に入った実邦だが、前後して恩師の屋島風塵、入国管理官の葛城、葛城の旧友で快楽殺人者の青柳など、関係者がいっせいに闇月の山を目指しだした。犯罪者たちの頂点に君臨する神山―実邦の元夫と、山奥に隠された“宝”を巡って、彼らの闘いが始まる。圧倒的スケールのエンターテインメント巨編。
(「BOOK」データベースより)

急峻な山々を背に、前を海に囲まれたある種の閉鎖された空間という地形を活かした舞台設定で繰り広げられる超能力者たちの戦いに出だしからドキドキワクワクです。
と同時に恩田さんの作品が好きな者としては一抹の不安もありました。どんな結末が待ち構えているんだろう、と。

上下巻の厚さをものともしない魅力的な世界観とストーリイを十分楽しみました。
が、やっぱり(?)結末が…。
それと、実邦の秘められた能力はいったいなんだったのかという疑問が残りました。

坂東真砂子さんの『死国』を思い出してしまうシーンがありました。
有名な作品なのでイメージが引きずられたように思います。そこは回避してほしかったです。

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畠中恵さん「たぶんねこ」 [本☆☆]


たぶんねこ (新潮文庫)

たぶんねこ (新潮文庫)




シリーズ12作目ですか。そんなに!?

「跡取り三人」「こいさがし」「くたびれ砂糖」「みどりのたま」「たぶんねこ」の5編が収録されています。

えっ、若だんなが大店の跡取り息子たちと稼ぎの競い合いをすることになったってぇ!? 長崎屋には超不器用な女の子が花嫁修業に来るし、幼なじみの栄吉が奉公する安野屋は生意気な新入りの小僧のおかげで大騒ぎ。おまけに幽霊が猫に化けて……。てんやわんやの第十二弾の鍵を握るのは、荼枳尼天様と「神の庭」!
(出版社HPより)

一時期マンネリを感じていたのですが、ここにきて盛り返してきたように思います。
若だんなが寝込む頻度が減ってきたのか、長崎屋の外に出て、物語の動きが大きくなった印象があります。

外に出る機会が増えた分だけ癖のある人間や傍若無人な小僧も登場し、物語が面白くなりました。
それに対応できる若だんなも大人になったなー、と感慨深いものがありました。

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柴崎友香さん「春の庭」 [本☆☆]


春の庭 (文春文庫)

春の庭 (文春文庫)




らしいといえばらしいです。
が、「これが芥川賞作品かぁ」という印象も受けます。

「春の庭」「糸」「見えない」「出かける準備」の4編が収められています。

第151回芥川賞受賞作。「春の庭」
書下ろし&単行本未収録短篇を加え 待望の文庫化!
東京世田谷の取り壊し間近のアパートに住む太郎は、住人の女と知り合う。彼女は隣に建つ「水色の家」に、異様な関心を示していた。街に積み重なる時間の中で、彼らが見つけたものとは――第151回芥川賞に輝く表題作に、「糸」「見えない」「出かける準備」の三篇を加え、作家の揺るぎない才能を示した小説集。
二階のベランダから女が頭を突き出し、なにかを見ている。(「春の庭」)
通りの向こうに住む女を、男が殺しに来た。(「糸」)
アパート二階、右端の部屋の住人は、眠ることがなによりの楽しみだった。(「見えない」)
電車が鉄橋を渡るときの音が、背中から響いてきた。(「出かける準備」)
何かが始まる気配。見えなかったものが見えてくる。
(出版社HPより)

芥川賞受賞作ということで興味を持って読んだ人はその日常性にあふれた(というより日常そのものの)ストーリイに戸惑ったかもしれません。
それが柴崎さんの小説の特徴でもあるのですが。

ただ、デビュー作から読んでいると、これらの作品に、なんというか、キラキラしたものを感じられませんでした。
20代の若い男女を描いた作品だと、とりたてて目標もない(ダラダラした)日常であっても、彼らの関西弁の会話の効果もあって、自分がその場にいるような楽しい(でもワクワクほどではない)気分になりました。

それがこの作品では、ただルーティン・ワークとしてその日を送っている、そんな印象を受けました。
登場人物たちの年齢のせいなのか、惰性で暮らしている日々が描かれているのは、読んでいてツライな、と思いました。

住居を変えたり、生活環境を変えたりというシーンもあるにはあるのですが、ブレイクスルーとまではいかないように思え、閉塞感が拭えませんでした。
その先にある「はっきりとした光」を(眩しいものでなくても)見せてほしいと思いました。

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吉田篤弘さん「水晶萬年筆」 [本☆☆]


水晶萬年筆 (中公文庫)

水晶萬年筆 (中公文庫)




不思議な味わいの短編集です。ハマる人はどっぷりいっちゃいそうです。

「雨を聴いた家」「水晶萬年筆」「ティファニーまで」「黒砂糖」「アシャとピストル」「ルパンの片眼鏡」の6編が収録されています。

アルファベットのSと「水読み」に導かれ、物語を探す物書き。影を描く画家。繁茂する導草に迷い込んだ師匠と助手。月夜に種蒔く人。買えないものを売るアシャ。もう何も欲しくない隠居のルパン―人々がすれ違う十字路で、物語がはじまる。流れる水のように静かにきらめく六篇の物語集。
(「BOOK」データベースより)

白山、築地、根津、千住といった場所をモチーフに架空の「十字路のある」街を構築しています。
その迷路感がたまりません。
個人的にあちこちの街で路地裏に入り込んで、道に迷って迷子になって、思いがけない発見を経験しているだけに楽しく読みました。(そういえば、最近迷子になってないなー)

土地鑑のある場所ばかりなので、デジャヴもあり、不思議な設定に異世界に迷い込んだ印象もありました。

リドルストーリーという形式なのかな?結末まで書かれていなく、読者の想像をかき立てるラストが好きです。

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大崎梢さん「ふたつめの庭」 [本☆☆]


ふたつめの庭 (新潮文庫)

ふたつめの庭 (新潮文庫)




保育園を舞台にした連作ミステリです。
が、保育園を舞台にした謎解きかと思いきや、恋愛要素のほうが強かったです。

「絵本の時間」「あの日の場所へ」「海辺のひよこ」「日曜日の童話」「青い星の夜」「発熱の午後」「青空に広がる」の7編が収録されています。

保育園に〈平穏な一日〉なんてありません! 25歳の保育士・美南(みなみ)は、次々と起きる不思議な事件にふりまわされる日々。妻と娘が姿を消したと園児の父親が駆け込んできたり、園内に不審な足跡を見つけたり。解決のヒントは、えっ、絵本のなか!? 謎を解くべく奔走するうち、男手ひとつで園児・旬太(しゅんた)を育てる隆平に心惹かれて……。大人も子どもも一緒に大きくなる、恋と謎と成長の物語。
(出版社HPより)

湘南モノレールの西鎌倉駅近辺にある保育園が舞台です。

さらっと読めます。

保育士の美南とシングルファーザーの隆平が次第に惹かれあっていく恋愛ものです。まあ、初めからなんとなく想像はつきました。保育士とシングルファーザー…って安直?と思いながら。

けれども、じっくりと気持ちを育みつつも、子ども(旬太)のことを気に掛ける細やかさがよかったです。

絵本が鍵となって謎が解かれるのは楽しかったです。

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有川浩さん「ヒア・カムズ・ザ・サン」 [本☆☆]


ヒア・カムズ・ザ・サン (講談社文庫)

ヒア・カムズ・ザ・サン (講談社文庫)




ひとつの設定から複数の物語を作る。たまにありますが、本作はその距離が近すぎるようにおもいました。

「ヒア・カムズ・ザ・サン」「ヒア・カムズ・ザ・サンParallel」の2編が収められています。

真也は30歳。出版社で編集の仕事をしている。彼は幼い頃から、品物や場所に残された、人間の記憶が見えた。強い記憶は鮮やかに。何年経っても、鮮やかに。ある日、真也は会社の同僚のカオルとともに成田空港へ行く。カオルの父が、アメリカから20年ぶりに帰国したのだ。父は、ハリウッドで映画の仕事をしていると言う。しかし、真也の目には、全く違う景色が見えた…。わずか7行のあらすじから誕生した二つの小説。大切な人への想いが、時間と距離を超え、人と人とを繋げていく。有川浩meets演劇集団キャラメルボックス。小説×演劇の全く新しいクロスオーバーから生まれた物語の光。
(「BOOK」データベースより)

モノに触れることでその持ち主の記憶が見えるという特殊能力を持つ主人公、妻子を捨ててアメリカに渡り脚本家として成功を収めて凱旋帰国した同僚の父親という二人を軸に物語が進むのですが、父親の過去と秘めた意思にバリエーションを持たせることで別々のストーリイが生まれます。

個人的には表題作のほうが好みでした。
端正な表題作に比べると「ヒア・カムズ・ザ・サンParallel」は軽い感じがします。

じんとする家族愛を描いてほしかった、と思いました。

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朱川湊人さん「満月ケチャップライス」 [本☆☆]


満月ケチャップライス (講談社文庫)

満月ケチャップライス (講談社文庫)




NHK BSドラマ「本棚食堂」で料理の題材になっていたので、読んでみました。
それ以外の料理も簡単でおいしそうでした。

兄妹と母さんが暮らす家に料理上手のモヒカン男がやってきた。繰り出すメニューは、男同士のムニエルにブロッコリーのウソピザ、満月ケチャップライス。家族の仲間入りのお礼にスプーン曲げの超能力まで授けてくれた。その超能力を狙う怪しい宗教団体が周囲をうろつき出し…。忘れられない「家族」の物語。
(「BOOK」データベースより)

どこに行くのかわからないけれど、なんだかほっこりする展開に浸っていたら、予想もしない方向(それも個人的に好ましくない)に流れていきました。

謎の宗教団体を実在の団体(オウム)と酷似させることの意味はなんだったんでしょう?現実はそこまで物語を受け入れるほど昇華されていないように感じます。
このために物語世界に違和感を覚えました。

前半と後半でガラッと変わってしまった物語が残念です。

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樋口有介さん「猿の悲しみ」 [本☆☆]


猿の悲しみ (中公文庫)

猿の悲しみ (中公文庫)




女性を主人公にしたハードボイルドです。
文体が柚木草平シリーズと同じ、というか樋口節なのでずっと既視感がありました。

弁護士事務所で働く風町サエは、殺人罪で服役経験を持つシングルマザー。十六歳で不登校の息子がいる。表向きは事務員だが、実際には様々な手口で依頼主の要望に応える調査員。プロ野球選手とモデルの離婚慰謝料を巡り動くサエだったが、同時にある殺害事件についての調査も言い渡される。歪んだ愛の発端は三十四年前に遡り―。
(「BOOK」データベースより)

解説にあるように、女性が主人公である必然はわかりました。けれど、主人公の心情なりにもう少し突っ込んでもいいような気がしました。

事件の「解決」ではなく「結末」を迎えるというところがハードボイルドらしいかな、と思います。

柚木草平シリーズのキャラクターがカメオ出演しています。もちろん、草平本人も!(「ミミズの研究者」も)

続編『笑う少年』も楽しみです。

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