So-net無料ブログ作成

小林泰三さん「安楽探偵」 [本☆☆]


安楽探偵 (光文社文庫)

安楽探偵 (光文社文庫)

  • 作者: 小林 泰三
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2016/02/09
  • メディア: 文庫



タイトルそのもの、安楽椅子探偵ものです。

「アイドルストーカー」「消去法」「ダイエット」「食材」「命の軽さ」「モリアーティ」の6編が収録されています。

街いちばんの名探偵の元には、奇妙な依頼人ばかりがやって来る。熱狂的ファンの中年男に、執拗に真似をされる恐怖を語る人気アイドル。(「アイドルストーカー」) 何者かに太る薬を盛られていると訴えるダイエットマニアの女。(「ダイエット」) 事務所から一歩も出ないものぐさな探偵の推理とは? 全編に仕掛けられた巧妙な罠と黒い笑い。奇才が放つ連作ミステリー。
(出版社HPより)

名探偵が事務所から1歩も外に出ずに依頼人からの相談だけで解決してしまうという筋書きですが、作者によるミスリードにやられた部分が大きいと思います。

最後の「モリアーティ」は意表を衝く内容になっています。
それまでの5つの短編はそのための布石だったんだなー、と気づきました。

小林さんの作品にしてはダークさは薄めでしょうか。

nice!(15)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

八木沢里志さん「きみと暮らせば」 [本☆☆]


きみと暮らせば (徳間文庫)

きみと暮らせば (徳間文庫)

  • 作者: 八木沢 里志
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2015/12/03
  • メディア: 文庫



さらりと読みやすくて、それでいて印象に残る本でした。

十年前、陽一の母とユカリの父が結婚し、二人は兄妹になったが、五年前に両親は他界。中三のユカリは義母のレシピ帳を参考に料理し、陽一は仕事で生活費を稼ぎ、支えあいながらの二人暮らし。ある日、庭先に猫が現れる。二人は猫を飼い主らしき人へ届けに行くのだが―。のんびり屋の兄と、しっかり者の妹が織りなす、陽の光差すような、猫もまどろむほのぼのあったかストーリー。
(「BOOK」データベースより)

のんびり屋の社会人の兄と、A型気質のしっかり者の中学生の妹、そして猫の「種田さん」が織りなす何気ない日常が丁寧に描かれています。

何気ない日々を何気なく描くことは難しいと思うので、筆力を感じます。

いい人ばかり(意地悪な人はいてもすごく影が薄い)で物足りない点はありました。

nice!(10)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

上田秀人さん「梟の系譜 宇喜多四代」 [本☆☆]


梟の系譜 宇喜多四代 (講談社文庫)

梟の系譜 宇喜多四代 (講談社文庫)

  • 作者: 上田 秀人
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/11/13
  • メディア: 文庫



中国地方の大大名だった宇喜多家を描いた作品です。
宇喜多四代というサブタイトルがありますが、9割方は中興の祖の直家に割かれています。

天文三年、備前・砥石城へ浦上家の重臣・島村宗政の軍勢が押し寄せてきた。守勢は、もう一人の重臣・宇喜多能家。病で戦陣に立てない能家は篭城を諦め、息子・興家と孫の八郎を城から逃がす。親子は備前福岡の豪商の家に身を寄せるが、やがて父は亡くなり、八郎は直家と名を改め旧主・浦上家に潜りこむ。悪人の名を乱世に轟かせた、梟雄の第一歩だった―。宇喜多直家の全貌を描ききった本格歴史長編。
(「BOOK」データベースより)

戦国時代の3大梟雄といえば「斎藤道三」「宇喜多直家」「松永久秀」と言われていますが、この作品を読む限りは直家に梟雄さはあまり感じませんでした。
直家の生い立ちや辛酸をなめた少年時代、内面の吐露が描かれていることから、行動の必然性を感じてしまったせいもあると思いますし、暗殺や謀略といったものが悪逆さ薄め(?)に描かれていたからかもしれません。

謀略の限りを尽くしてのし上がる展開を期待していたので、肩透かしをくらった感じです。

それに梟雄らしいのは直家だけで、それ以外(直家の祖父・能家、父・興家、息子・秀家)はそんな欠片もありません。

タイトルに誤りあり、です。

nice!(11)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

道尾秀介さん「笑うハーレキン」 [本☆☆]


笑うハーレキン (中公文庫)

笑うハーレキン (中公文庫)

  • 作者: 道尾 秀介
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2016/01/21
  • メディア: 文庫



人間ドラマとしては背中を後押ししてくれる作品ですが、個人的には道尾さんらしいという点では遠い出来なように思います。

経営していた会社も家族も失い、川辺の空き地に住みついた家具職人・東口。仲間と肩を寄せ合い、日銭を嫁ぐ生活。そこへ飛び込んでくる、謎の女・奈々恵。川底の哀しい人影。そして、奇妙な修理依頼と、迫りくる危険―!たくらみとエールに満ちた、エンターテインメント長篇。
(「BOOK」データベースより)

会社を倒産させ、家族を失ってしまった主人公が、ホームレスの境遇に落ちながらも仲間とともに再起を目指す物語です。

デビュー当初から「ミステリはあくまで手段」と言っていた道尾さんなので、こういった作品を発表するのは至極当然な気がします。

ストーリイは起伏のないもので、奈々恵という若い女性が弟子入り志願してきて物語が動き出すのですが、ギアが入った感じがないまま終わってしまった印象です。

伏線の回収や、タイトルに込められた理由などは道尾さんらしいのですが、期待値が高くなっているのか物足りなさを感じました。

nice!(17)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

樋口有介さん「片思いレシピ」 [本☆☆]


片思いレシピ (創元推理文庫)

片思いレシピ (創元推理文庫)

  • 作者: 樋口 有介
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2014/05/12
  • メディア: 文庫



柚木草平シリーズ番外編とでもいえばいいでしょうか。柚木草平の小学生の娘・加奈子が学習塾で起こった殺人事件について同級生の家族が行う素人捜査に巻き込まれてしまうというものです。

ママが中国に取材旅行に行っている間に、親友の妻沼柚子ちゃんと一緒に通ってる塾の先生が、誰かに殺されちゃったの。人形のような美少女の柚子ちゃんを贔屓して、体の弱いことを心配したり、こっそりお菓子もあげていた先生なんだ。どういうわけか柚子ちゃんのお祖父さんや、ちょっと風変わりなお兄さんなど、妻沼家のご家族とともに事件の調査をすることになって、ってちょっとちょっとパパ聞いてる!? あの柚木草平の愛娘・加奈子ちゃんの探偵行と淡い恋心を瑞々しい筆致で描く、さわやかな余韻が秀逸なミステリ。ファン必読の〈柚木草平シリーズ〉番外編。
(出版社HPより)

加奈子が語り手となるのですが、口調が父親そのものでかなり違和感がありました。
「柚木草平シリーズ」の系譜という狙いがあったのかもしれませんが、さすがに小学生に語らせるにはオヤジ臭いです。

加奈子が探偵役なのかと思ったのですが、どちらかというと巻き込まれ役でした。文庫版あとがきで樋口さんが執筆の発端から役回りまで書かれていて納得しました。
柚木草平が電話口で加奈子にサジェスチョンを与えるのはありだな、と思いました。
けれども、ミステリ面でも淡い恋心という面でも物足りなさが残りました。

辺り一帯の地主だったというお金持ちの妻沼一家の変人を超越した変人ぶりがすごいです。

nice!(13)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

有川浩「レインツリーの国」 [本☆☆]


レインツリーの国 (新潮文庫)

レインツリーの国 (新潮文庫)

  • 作者: 有川 浩
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/06/27
  • メディア: 文庫



図書館戦争シリーズの中で同名の小説が出てくるそうです。図書館戦争シリーズは読んでいませんが、もちろん大丈夫でした。

きっかけは「忘れられない本」。そこから始まったメールの交換。共通の趣味を持つ二人が接近するのに、それほど時間はかからなかった。まして、ネット内時間は流れが速い。僕は、あっという間に、どうしても彼女に会いたいと思うようになっていた。だが、彼女はどうしても会えないと言う。かたくなに会うのを拒む彼女には、そう主張せざるを得ない、ある理由があった―。
(出版社HPより)

この本に関しては、解説を先に読むことはお勧めしません。ネタバレほどではありませんが、ひとみの隠していた秘密(ほどではないけれど)が明かされるまでの主人公の伸の戸惑いをともに感じるという過程が半減してしまうからです。

恋愛ものとしてはスタンダードなものだと思います。
ネットで知り合い、実際に会って恋愛感情を抱く。そこにひとひねりを加わえることで、ただのラブストーリイでなくなっているように思います。

感情をぶつけあう。互いを理解し合う。現実にはなかなかできることではないと思います。
メールや会話の(いい意味での)軽さが重くなりがちな物語を軽減しているように感じました。

nice!(13)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

石持浅海さん「カード・ウォッチャー」 [本☆☆]


カード・ウォッチャー (ハルキ文庫 い 18-1)

カード・ウォッチャー (ハルキ文庫 い 18-1)

  • 作者: 石持 浅海
  • 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
  • 発売日: 2014/07
  • メディア: 文庫



総務担当社員と労働基準監督官との労災の臨検を巡る一風変わったミステリです。
石持さんらしい作品です。

ある日、遅くまでサービス残業をしていた株式会社塚原ゴムの研究員・下村が、椅子の背もたれに体重をかけ過ぎて後方に倒れてしまった。そのとき、とっさに身を守ろうとして手首をけがしてしまう。その小さな事故が呼び水となり、塚原ゴムに臨検が入ることになった。突然決まった立ち入り検査に、研究総務の小野は大慌て。早急に対応準備を進めるが、その際倉庫で研究所職員の死体を発見してしまう。所内で起きた、変死。小野は過労死を疑われることを恐れ、労働基準監督署の調査員に死体が見つかることを回避するため、ひたすら隠ぺいしようとするのだが……。
(出版社HPより)

過剰なサービス残業(もちろん違法です)を会社ぐるみで行うという下地はどこかで見聞きしたような現実で、なんだか身につまされる内容でした。

労働基準監督署の調査員が探偵役、民間企業の総務部員が隠ぺいしようとします。ミステリというよりは頭脳ゲームといったほうがよさそうな感じです。

終わり?でも残りページあるな? と思ったところからまさかの推理劇。
しかも意図しない結末になんか切なくなりました。

nice!(16)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

有栖川有栖さん「臨床犯罪学者・火村英生の推理 I 46番目の密室」 [本☆☆]


臨床犯罪学者・火村英生の推理 I    46番目の密室 (角川ビーンズ文庫)

臨床犯罪学者・火村英生の推理 I 46番目の密室 (角川ビーンズ文庫)

  • 作者: 有栖川 有栖
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/09/29
  • メディア: 文庫



レーベルゆえか、どうもイラストが…ねぇ。
ドラマを見てから読んだので、火村英生がかなりべらんめえ口調だったのが違和感として残りました。

英都大学社会学部の若き助教授、火村英生。その明晰な頭脳で難事件を解決し、「臨床犯罪学者」と呼ばれている。そんな火村が心を許す唯一の存在は、大学時代からの親友である推理作家、有栖川有栖。冬のある日、有栖川が大御所推理作家・真壁聖一の別荘に招かれたことから、2人は軽井沢を訪れることに。しかしなんと真壁自身が「密室」で殺される事件が起き…!?伝説の名探偵と推理作家の最強コンビ、ビーンズ文庫に登場。
(「BOOK」データベースより)

大学のセンセイが探偵役をするというと、東野圭吾さんのガリレオシリーズを思い浮かべるんですが、それより前なんですね。しかも「犯罪社会学」の研究者として犯罪現場をフィールドワークとしているので事件に積極的に関与しているようです。

ワトソン役は駆け出しミステリ作家の有栖川有栖。作者と同じ名前です。

この二人の関西弁(京都弁?)の掛け合いが面白いです。大学時代からの友人という気軽さや漂ってきます。

密室を扱ったミステリも面白いです。謎解きも、あちこちに張られた伏線の回収もすんなり落ちました。

後続の作品も読んでみようと思います。

nice!(16)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

五十嵐貴久さん「魅入られた瞳  南青山骨董通り探偵社II」 [本☆☆]


魅入られた瞳: 南青山骨董通り探偵社II (光文社文庫)

魅入られた瞳: 南青山骨董通り探偵社II (光文社文庫)

  • 作者: 五十嵐 貴久
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2015/06/11
  • メディア: 文庫



「南青山骨董通り探偵社シリーズ」第2弾です。
今回もなかなかハードです。

正式に探偵社に入社した井上雅也。だが、地味な仕事続きで不満気味。そんな折、社長の金城から任されたのは、商社マンの美しき妻・志津恵をクリニックへ送迎することだった。渋々引き受けた雅也だったが、一目で彼女に魅了される。着々と仕事を進める中、送迎車の消失や謎の男からの暴行など予期せぬ事態が起こる。探偵社の面々を待つ驚愕の真実とは!? シリーズ待望の第二弾!
(出版社HPより)

テンポのいい会話と、メリハリのきいたスリリングな展開にあっという間に読了してしまいました。
ハードな情景描写もありますが、キャラの立った探偵たちの軽妙なセリフの遣り取りが中和してくれます。

探偵見習レベルの井上に突きつけられるシビアな現実。それを繋ぎ留めるのが社長の金城です。

まだ探偵たちの過去や繋がりといったものが明かされていませんので、次作も楽しみです。

nice!(12)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

乾くるみさん「セブン」 [本☆☆]


セブン (ハルキ文庫)

セブン (ハルキ文庫)

  • 作者: 乾 くるみ
  • 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
  • 発売日: 2015/07/11
  • メディア: 文庫



怒涛のロジカル攻めです。
表題作以外にも「7」がキーワードの作品が詰め込まれています。

「ラッキーセブン」「小諸-新鶴343キロの殺意」「TLP49」「一男去って…」「殺人テレパス七対子」「木曜の女」「ユニーク・ゲーム」の7編が収められています。

一見シンプルなトランプの数当てゲームが、生死をかけた心理バトルへと変貌する「ラッキーセブン」ほか、時間を何度もワープする男の話――「TLP49」、超ショートショート――「一男去って……」、戦場で捕らえられた兵士の生き残り作戦とは――「ユニーク・ゲーム」などロジカルな企みに満ちた七つの物語。トリッキーな作品世界に二度読み三度読み必至の驚愕の短篇集。
(「BOOK」データベースより)

しかし、設定が面倒くさい。
表題作の「セブン」はじっくり読む分には面白いのですが、電車などの移動中に読むには集中できずにほとんど飛ばし読みでした。

それぞれの物語は趣向を凝らしていて、読んでいて楽しかったです。
頭の体操にもいいかもしれませんが、集中できない環境だったので個人的に効果はなかったです。

実に乾さんらしい作品でした。

nice!(21)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ: