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村上春樹さん「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」 [本☆]





村上春樹さん、出版されたら読んでみはしますが、これは…。

多崎つくる鉄道の駅をつくるのが仕事。名古屋での高校時代、四人の男女の親友と完璧な調和を成す関係を結んでいたが、大学時代のある日突然、四人から絶縁を申し渡された。
何の理由も告げられずに――。
死の淵を一時さ迷い、漂うように生きてきたつくるは、新しい年上の恋人・沙羅に促され、あの時なにが起きたのか探り始めるのだった。
(出版社HPより)

時が解決してくれる、というのはよく聞きますが、時間を経ることで当時は言えなかったことの真相が明かされるということもあると思います。

親友たちからの突然の拒絶によって心に傷を負った主人公も、十数年後に友人を訪ね歩いて、なにが起こったのかを解き明かしていきます。

そのきっかけとなった出来事についてはファンタジーとしか思えないようなことで、本筋ではないんでしょうけれども、どうにも据わりの悪さのようなものを覚えました。

過去への決別のプロセスのようなものを(個人的に)読み取りました。
過去に向き合うことで捨て去るものがあり、糧となるものを得る、そんな読後感がありました。

しかし、明るい未来が明示されているわけではなく。
まあ、それが現実ではあるんですけれど、でも、それをフィクションに求めたい気持ちは捨てきれず、この物語の中途半端な結末にガッカリしました。

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三崎亜記さん「逆回りのお散歩」 [本☆]


逆回りのお散歩 (集英社文庫)

逆回りのお散歩 (集英社文庫)




デビュー当初のような魅力が…。

「逆回りのお散歩」「戦争研修」の2短編が収められています。

地方都市A市とC町の行政統合を目前に控え、聡美はネット掲示板で、陰謀説まで飛び交う激しい議論が起こっていることを知る。「統合反対派」による市役所への抗議電話や無許可のデモ行進。平穏に過ぎる日常の裏で、無関心に見えた人々が静かに動き出し、反対運動は他を巻き込み激しさを増していく…。日本の現在を想起させる表題作ほか、ベストセラー『となり町戦争』のスピンオフ短編も併録。
(「BOOK」データベースより)

「逆回りのお散歩」は従来に比べると虚構感が薄いように感じます。リアルさというか生気があるというか。

ファンタジーという空想世界の中で現実世界に起こっているような不条理さを描いた作品が魅力なのだと思います。

それが虚構感が薄れることでリアルさを持ち始め、けれどもリアリティを感じるまでにいかない、そんな読後感でした。

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安部龍太郎さん「レオン氏郷」 [本☆]


レオン氏郷(うじさと) (PHP文芸文庫)

レオン氏郷(うじさと) (PHP文芸文庫)




惹句を見て、そういえば蒲生氏郷って詳しいことを知らないなぁ、と思って読んでみました。
なんだか肩透かしでした。

織田信長が惚れこんで、その娘婿となり、その薫陶を受けて成長した蒲生氏郷。近江の麒麟児から、会津百万石の太守となった戦国武将である。
世界とわたり合える国をつくるために天下統一を急ぐ信長の下、活躍を続ける氏郷だったが、長島一向一揆での惨劇を目にして心が大きく揺らぎ始めた。そして本能寺の変が……。
茶人やキリシタンとしても知られる氏郷には、その器量を畏れた豊臣秀吉が毒を盛ったとの説もある。その謎を解き明かすとともに、著者独自のグローバルな視点から蒲生氏郷の人生を骨太の筆致で描く。
直木賞受賞作となった『等伯』と並行して書かれた長編力作。
(出版社HPより)

蒲生氏郷の魅力が伝わってこなかったです。
信長に見出されて娘婿になったことや秀吉に重用されたことなど、主を惹きつける魅力や飛び抜けた才能といったものがあると思うのですが、その根幹部分が伝わりませんでした。

後半部で秀吉に遠ざけられたことや、会津領の奪回を目論む伊達正宗との心理戦は読み応えがありましたが、南東北の要衝の地である会津40万石(最終的には90万石)を与えられた功績がはっきりしないために氏郷の力量のイメージが追い付いてこなかったために小ぢんまりとした印象でした。

むしろ、終幕の秀吉の述懐がリアルすぎて主人公を喰ってしまっているように感じました。
そう考えると氏郷がキリシタンに帰依したことについての物語上の意味がわからなくなってきます。

純粋で誠実で理想主義だったことが裏目に出たのだろうか。人たらしで有名な秀吉の奸智に丸め込まれ、呑み込まれたとしか思えません。戦国時代にそんな武将がいたとは思えないのだけれど。

後書きで氏郷の死因が毒殺だったとする記録が見つかったと書いていたが、それありきで物語を構築しただけのような印象を覚えました。


それにしても、甲賀の忍びで鉄砲の名手という三左衛門の使われ方が都合よすぎる。。。

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太田忠司さん「クマリの祝福 - セクメトⅡ」 [本☆]


クマリの祝福 - セクメトⅡ (中公文庫)

クマリの祝福 - セクメトⅡ (中公文庫)




シリーズ第2弾です。
作者はどこへ行こうとしているのか?

私立篤風高校で起きた残虐な殺人事件。被害者は扼殺されたあと、内臓を抜かれていた。半年前の事件の影響で本庁から葛飾署に左遷された和賀も現場に急行する。被害者が残した謎の言葉「くまり」を手がかりに独自の捜査を進める和賀は日中の路上で襲撃される。窮地を救ったのは、前の事件の最重要人物――夏月だった。人気シリーズ、登場!
(「BOOK」データベースより)

シリーズにするには1作目の疾走感や暴走感がなくて物足りなさがありました。なんとなく落ち着いてしまって、どこか取り残された感を覚えました。

ミスリードを誘う物語展開はさすがだなあ、と思いましたが、殺人犯やその背景に小粒さがあって物足りなさのほうが大きかったかもしれません。

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青山七恵さん「風」 [本☆]


風 (河出文庫)

風 (河出文庫)




うーん、よくわかりませんでした。。。

「予感」(掌編)と「ダンス」「二人の場合」「風」の短編が収録されています。

緑地の平屋に住む姉妹・貴子と澄子が奏でるあまりにも純粋な愛憎(「風」)、ともに大手肌着メーカーに就職した十五年来の友人・実加と未紀が育んだ友情の果て(「二人の場合」)、身体の声に忠実に決して踊らない優子(「ダンス」)、そして旅行を終えて帰ってくると、わたしの家は消えていた…(「予感」)―疾走する「生」が紡ぎ出す、とてもとても特別な「関係」の物語。
(「BOOK」データベースより)

「予感」を除く3作はどれも長期の時間軸での物語です。
「ダンス」は幼少期から母親になるまで、「二人の場合」は社会人一年生から30代半ばまで、「風」は50代の姉妹の一生をトピックごとに描かれています。

青山さんがインタビューの中で「ある時、私は誰かと誰かの“2人”の関係ばかり書いていると気づきました。それをもっと純化し、濃くしたのがこの作品です。私の理想も入っていますね。すごく憎しみあっているけれど、相手に先に死なれるぐらいなら自分が先に死にたいと思っている。これほど激しい感情を誰かに抱けるってすごいと思うんです」と言っているように、主人公2人の関係性が濃密に描かれています。
時間が経って変わることもあれば変わらないこともあり、関係性の変化が物語を動かしていきます。

けれども、個人的には(特に「風」が)ただただ重苦しい、うざったい関係だとしか思えませんでした。
あくまで個人の感想です。

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大倉崇裕さん「夏雷」 [本☆]


夏雷 (祥伝社文庫)

夏雷 (祥伝社文庫)




山岳ミステリーというわりには山はそんなに登場しません。
肩透かしをくらった気分です。

東京月島の便利屋倉持のもとに、北アルプスの名峰槍ヶ岳に登れるようにしてほしいという初老の依頼人山田が訪れた。ずぶの素人が必死の体力トレーニングを続ける真の目的とは?丹沢、奥多摩と試登を続ける二人に謎の尾行者が迫り、“槍”挑戦への行程を早めた直後、山田が消えた!一度は山を捨てた倉持の、誇りと再生を賭けた闘いの行方は!?山岳サスペンスの傑作!
(「BOOK」データベースより)

前半は面白かったんですけれど。
登山経験のある主人公の倉持に、初老の男 山田が槍ヶ岳に登れるようにしてほしいという依頼を持ち込み、トレーニングを積んでいる最中に山田が失踪し、倉持が山田の行方を追う━までです。

その後が尻すぼみな印象でした。黒幕が早々にあたりがついたのもあります。

結果的に山とハードボイルドとミステリがごちゃ混ぜになった感想でした。
もちろん、山とハードボイルドとミステリは同居できるのですが、うまく混ざっていない(ダマがあるような)印象を覚えました。

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海堂尊さん「カレイドスコープの箱庭」 [本☆]





「田口・白鳥シリーズ」もとうとう終わりですね。
『桜宮サーガ』として捉えるととんでもない広がりになります。

東城大学病院は存続の危機に立たされながらも、運営を続けていた。そんな折、肺癌患者が右肺葉摘出手術で亡くなったのは、病理医の誤診が原因ではないかとの疑惑が浮上。田口医師は実態を把握せよという高階病院長の依頼を受け、仕方なく、呼吸器外科や病理検査室などの医師や技師たちへの聞き取り調査を開始する……。万華鏡のように、見る角度によって様々な形に映る大学病院。果たして事件の真実とは――。海堂ワールドを俯瞰できる登場人物相関図や、600名近くに及ぶシリーズ全登場人物表なども収録した完全保存版。
(出版社HPより)

ミステリの出来は☆ひとつです。
早々に犯人と手口がわかってしまうし、謎解きで明かされる真実もあり、ミステリの体をなしていません。

ただ、シリーズ最終章を飾る同窓会的な展開はよかったと思います。しかし、これを「国際会議」と言ってしまうのにはかなりの違和感があります。

このシリーズを通して医療に警鐘を鳴らし続けたという意義はあると思います。それが社会を変えるに至ったかは個人的にはわかりません。。。


エッセイ『放言日記』は必要?

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辻村深月さん「鍵のない夢を見る」 [本☆]


鍵のない夢を見る (文春文庫)

鍵のない夢を見る (文春文庫)




第147回直木賞受賞作だそうです。僭越ですが、評価ポイントがよくわかりませんでした。。。

「仁志野町の泥棒」「石蕗南地区の放火」「美弥谷団地の逃亡者」「芹葉大学の夢と殺人」「君本家の誘拐」の5編が収録されています。

誰もが顔見知りの小さな町で盗みを繰り返す友達のお母さん、結婚をせっつく田舎体質にうんざりしている女の周囲で続くボヤ、出会い系サイトで知り合ったDV男との逃避行--日常に倦んだ心にふと魔が差した瞬間に生まれる「犯罪」。
現代の地方の閉塞感を背景に、ささやかな欲望が引き寄せる奈落を鮮やかにとらえる短編集。ひとすじの光を求めてもがく様を、時に突き放し、時にそっと寄り添い描き出す著者の筆が光る傑作。
(出版社HPより)

うーん、まるで共感できませんでした。

地方で暮らす女性が感じる様々な閉塞感がひしひしと伝わってきて、どうしようもなく「犯罪」に走ってしまう過程はわからなくはないのですが、登場人物の誰にも共感できず、それゆえに物語に没入できませんでした。
救済も希望もなく、モヤモヤする読後感に囚われます。イヤミスの部類に入るんでしょうか。

それでも読んでしまうのは辻村さんの力量なんでしょうね。


なかでも「君本家の誘拐」は切迫感、焦燥感がひりひり伝わってくるようでした。なんか、すごい。

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東野圭吾さん「疾風ロンド」 [本☆]


疾風ロンド (実業之日本社文庫)

疾風ロンド (実業之日本社文庫)




テレビの2時間もののサスペンスドラマを見ているようなゆるーい、緊張感のない物語でした。

強力な生物兵器を雪山に埋めた。雪が解け、気温が上昇すれば散乱する仕組みだ。場所を知りたければ3億円を支払え―そう脅迫してきた犯人が事故死してしまった。上司から生物兵器の回収を命じられた研究員は、息子と共に、とあるスキー場に向かった。頼みの綱は目印のテディベア。だが予想外の出来事が、次々と彼等を襲う。ラスト1頁まで気が抜けない娯楽快作。
(「BOOK」データベースより)

白銀ジャック』の続編ともいうような位置づけです。
「白銀ジャック」にも登場していた根津昇平と瀬利千晶が引き続き活躍します。

しかし、どこか締まりがないように感じるのはなぜ?
キャラクターの平板さなのか、起伏のないストーリイなのか。

スキー場に赴く栗林という研究員が『ガリレオ』シリーズの栗林助手と同じ名前なのはサービスでしょうか。『ガリレオ』シリーズでのキャラクターを思い出してしまって却って緩みます。


映画が公開されるようですね。
「笑撃サスペンス」って、そういう方向で行くんだ。
個人的な印象ですが、キャストがイメージと違う…。
http://www.shippu-rondo-movie.jp/

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河野裕さん「その白さえ嘘だとしても」 [本☆]


その白さえ嘘だとしても (新潮文庫nex)

その白さえ嘘だとしても (新潮文庫nex)




階段島シリーズ第2弾です。青春ミステリという括りかなぁ?

クリスマスを目前に控えた階段島を事件が襲う。インターネット通販が使えない――。物資を外部に依存する島のライフラインは、ある日突然、遮断された。犯人とされるハッカーを追う真辺由宇。後輩女子のためにヴァイオリンの弦を探す佐々岡。島の七不思議に巻き込まれる水谷。そしてイヴ、各々の物語が交差するとき、七草は階段島最大の謎と対峙する。心を穿つ青春ミステリ、第2弾。
(出版社HPより)

魔女の正体が明らかになります。やっぱりね、という思いがありつつも、なんか納得いかないし、謎がすべて解明されたわけでもなく、モヤモヤ感が残りました。

いくつかのサブストーリイが並行して進むのですが、特徴なのか狙いなのか淡々として盛り上がりに欠ける印象です。
内省的というには物足りない感じです。

キャラクターは好きなんですけどね。


「トン汁」はないよなぁ。意図的なのか誤植なのか、どちらにしても白けてしまいます。

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