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冲方丁さん「天地明察」 [本☆☆☆]


天地明察(上) (角川文庫)

天地明察(上) (角川文庫)




天地明察(下) (角川文庫)

天地明察(下) (角川文庫)

  • 作者: 冲方 丁
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/05/18
  • メディア: 文庫



冲方さんの作品は初めてです。本屋大賞受賞、映画化されるというので読んでみました。
予想以上に「じわっ」とくるいいお話でした。

渋川春海は将軍に仕える碁打ち衆の家元四家の一つである安井家の長男でしたが、算術と天文への強い想いを抱いていました。江戸に出てきたある日、噂に聞いた算額絵馬を見に渋谷の金王八幡神社を訪れて「えん」という女性と運命の出会いをし、彼女の口から関孝和という天才を知ることになります。
その後春海は大老の酒井の指示で建部昌明や伊藤重孝とともに九州から東北まで日本各地の経度を測量・調査する「北極主地」という事業に参加し、そこで800年前から使われている宣明暦におよそ2日ものずれが生じていることを知ります。
あるべき天体の運行に暦を正す、そんな壮大なプロジェクトが始まります。

今風な歴史小説だと言えるかもしれません。
春海はいうなれば「草食系男子」として描かれます。天才然としているわけでも、英雄の振る舞いがあるわけでもありません。ただ真摯に実直に物事に相対します。
物語中に何度も出ますが徳川幕府の政治体制が武断から文治へと移ろうとしていた過渡期でもあって、大老・酒井を初めとする為政者たちはその象徴を欲していたと描かれます。それが改暦事業であり、春海であるというわけです。

そんな春海を多くの人が支えます。北極出地をともに旅した建部昌明や伊藤重孝、大老の酒井忠世、会津藩藩主の保科正之、「あの」水戸光圀は後の黄門様とは思えないキャラです。義兄の算知、碁のライバルの本因坊道策。後に妻となる「えん」。そして算術の天才の関孝和。
多くの人の支えがあって改暦事業を成し遂げることのできた春海なわけで、今の時代にマッチした物語だと思いました。

20数年という長い年月の物語というのもあって、淡々とした筆致で進められて、それだけに終盤から結末への流れが盛り上がります。多くの人々の想いの結集とも言えるクライマックスです。

要所要所で「からんころん」という音を春海は耳にします。このシーンがいいです。心に残ります。碁に「飽いて」いた春海が見つけた生涯をかけて挑む仕事--挫折しかかったときに脳裏に甦る軽やかな音です。この物語にぴったりな音でもあると思いました。


映画も魅力的なキャストが勢揃いです。こちらも楽しみです。
http://www.tenchi-meisatsu.jp/index.html
(…本因坊道策役の横山裕さんには(ゴメン)ちょっと笑った)

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