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和田竜さん「小太郎の左腕」 [本☆☆☆]


小太郎の左腕 (小学館文庫)

小太郎の左腕 (小学館文庫)




テンポがいいです。なのでサラサラッと読めてしまいます。読んでいて楽しいエンタメ時代小説です。

鉄砲が種子島に伝来して13年の戦国時代の九州が舞台です。
戸沢家の武将・半右衛門は敵対する児玉家との合戦で深手を負ったところに猟師の要蔵と孫で11歳の小太郎に助けられます。村人たちから阿呆と呼ばれるほどに怒ることを知らない小太郎は、とてつもない才能を秘めていて、要蔵はそれを隠していたのですが、半右衛門によって暴かれてしまいます。
圧倒的な兵力の差の前に篭城に追い込まれた戸沢軍の前に小太郎が救世主として現れます。

ストーリイは簡潔で奇をてらった展開もどんでん返しもないのですが、登場人物(主に半右衛門とライバルの花房喜兵衛)の気骨さとマッチしてシンプルで楽しい読み物になっています。
それに比べると小太郎の描写が弱く、物語中盤での彼の変貌ぶりも含めて影が薄いように感じました。

半右衛門や敵将の花房喜兵衛の骨太な豪傑さの行動原理が繰り返し語られ、それが物語の気持ちのいい軽さにつながっているんだと思います。
その一方で要蔵が小太郎をかばう気持ちというのが現代っぽくてしっくりきませんでした。要蔵なりのメンタリティというのは別にあったと思うんですが。

「神の左腕」の繰り出す凄技は現実離れしていますが、それをひっくるめて楽しい小説になっています。

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