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東野圭吾さん「容疑者Xの献身」 [本☆☆☆]


容疑者Xの献身 (文春文庫 ひ 13-7)

容疑者Xの献身 (文春文庫 ひ 13-7)

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2008/08/05
  • メディア: 文庫



探偵ガリレオシリーズの長編です。ラストシーンで思わず鳥肌がたちました。果たして人は他人にそこまでできるものなのか。

花岡靖子は娘の美里と2人暮らしです。近くの弁当屋で働く生活を送っています。ある日、靖子は訪ねてきた元夫を殺してしまいます。アパートの隣で暮らす、靖子に想いを寄せる高校の数学教師の石神は彼女を救うために元夫の死体処理を引き受けます。
歯・顎を潰され指紋が焼かれた身元不明の死体が発見され、現場に残された遺留品から警察はほどなく身元を元夫であると断定します。草薙刑事は関係者として靖子を訪れますが、死亡推定時刻の靖子のアリバイは完璧なものでした。
隣人の石神を訪ねた結果は空振りに終わったものの、石神が同じ大学の出身であることを知り、友人で帝都大学物理学准教授で捜査協力者でもある湯川の何気なく話します。石神は湯川たちの同級生であり、湯川が天才と認めた数学者でした。
懐かしさに湯川は石神を訪ねます。互いを認め合った二人は十数年の空白を埋め、旧交を温めます。
しかし、湯川は石神のある変化に気付き、疑念を覚えてしまいます。

ライバルで最強の敵という存在はあらゆるジャンルの小説で書かれてきたと思いますが、ここまで哀しいライバルというのはいたでしょうか。

緻密な論理構築から導かれた冷徹なまでの計画を遂行する石神ですが、そこにひたむきさをにじませます。時折見せる心の揺れが描かれます。それでも確実に楔を打ち込んでいく。
娘との穏やかな生活を脅かされそうになった末に殺人を犯してしまった靖子の怯え、石神に寄せる信頼、それが次第に揺らいでいくさまが対照的に描かれます。
そして、友人でもある草薙にも明かすことなく一人苦悩する湯川。

華麗なトリックも衆人のもとで披露される推理もありませんが心のひだを丁寧に描いたなにかを訴えかける作品だと思います。
そして、石神の仕掛けが明らかになったとき、張り巡らされた伏線が浮かび上がってきて、思わず唸ってしまいました。

映画化されていますが、こちらも観てみようと思います。

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